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- メルボルンで日本の美を再発見 ! [2008/7/04]

5月15日よりフリンダース・ストリートにある移民博物館で、特別展示会「KIMONO OSAKA’S GOLDEN AGE」が開催されている。この展示会は、約150年前の大阪の豪商やその家族が身に纏っていた豪華絢爛な着物などが展示され、オーストラリア人はもちろん、日本人にとっても見応えのある内容だ。展示会の運営に携わった大阪歴史博物館の学芸員、中野朋子さんに話を聞き、着物の魅力や展示会の見所について探ってみた。
(写真)振袖などの着物や装飾品など、100点を超える展示を鑑賞できる

(写真)藤と霞があしらわれた江戸期の小袖など、華やかな着物は見もの
■姉妹提携都市の大阪市が全面協力
今回の展示会は姉妹都市提携30周年を記念して、1年半前にメルボルン市が大阪市へ着物展を行いたいと打診したことがきっかけとなった。メルボルン市からの要請を受け、大阪と大阪歴史博物館が協力する形で昨年5月、この企画がスタートした。
「姉妹提携30周年記念を祝う一大事業ということもあって、この度、大阪歴史博物館が所蔵している貴重な着物を初めて海外で披露することになりました」。中野さんが語るように、展示物のほとんどが初めて海を渡るものばかり。しかも、大阪歴史博物館でも年に1度展示するかしないかという貴重な品々で、着物を初めて目にするオーストラリア人はもちろん、日本人も興味深く鑑賞できる内容になっている。
■150年前の大阪“セレブ・スタイル”の魅力
この展示では、大阪の豪商として知られる鴻池家のコレクションを中心に江戸末期から昭和初期までの着物など、約120点の展示品を紹介している。
江戸期の大阪は『天下の台所』という言葉もあるように、経済力に富み、活気にあふれた場所。その大阪で当時の日本経済を左右するほどの財力を持っていた豪商は、今で言うセレブ中のセレブだ。「着物といえば京都のイメージが強いと思います。それは確かですが、大阪の豪商から京都に発注され、“良家のお嬢様”のために仕立てられた着物は、特にゴージャスで、洗練されています」。鮮やかな赤い色使いが美しい振袖や、カラフルな婚礼用の衣装など、贅を尽くした着物は、日本でも普通にはなかなかお目にかかれないだろう。
「大阪の街は第二次大戦中に被災し、焼失した文化的遺産も少なくありません。展示品の多くは、戦時中に疎開先に保管されていたもので、幸運にも難を逃れたものです」。着物それぞれの質の高さもさることながら、“歴史的財産”としても鑑賞価値が高い。

(写真)子ども向けの着物の試着コーナーも設けられている
■展示会の見所
展示会場は「江戸後期〜明治期の着物」「近代の着物」「子どもと男性」の3つのブースに分かれ、それぞれのテーマに沿って展示がなされている。
会場の中央に設けられた「江戸後期〜明治期の着物」をテーマにしたブースでは、鮮やかで優美な着物をはじめ、当時の女性たちが使っていた櫛や簪、お歯黒を塗るための道具といった品々を紹介。
このブースでは、当時の大阪の女性に好まれた代表的な5つのタイプの髪型も展示しているが、これらは文献や絵画をもとに研究を重ね、中野さんたちが再現したものだという。「これらの髪型は1820年代に大阪でポピュラーだった結い方です。ちなみにその当時、全国には200種近い髪の結い方があったと言われています」。
同ブースには江戸時代の(今風に言えば)ヘア・カタログやメイクアップに関する本も展示しており、当時の女性の美意識が現代と同じように高かったことがうかがえる。
「近代の着物」ブースには、日本舞踊の舞台で使われた衣装や、婚礼で使われる“ふくさ”など、昭和戦前期までの品々を展示。白無垢など、今でも見かけられる着物もあり、現在に至るまでの着物の変遷を見て取れる。
「子どもと男性」に焦点を当てたブースでは、火消しの装束や商家で用いられた印半纏、子ども用の上下などを目にすることができる。火消しの半纏は派手なデザインだが、これは実はリバーシブル。「普段は地味にしていますが、消火活動が終わった時やお祭りの時に派手な面を表にして着ていました」と中野さんが説明してくれた。会場には英語の解説もあるので、オージーの仲間と行っても知識を共有できるだろう。
また、会場では子ども向けに浴衣の試着コーナーが設けられているほか、浴衣の着方についてのレクチャーをVTRで流しており、子どもだけでなく大人も参考になるコーナーとなっている。
■展示会の楽しみ方
展示会は9月までの4カ月間開催されるが、7月には展示する着物の入れ替えを実施。同じコンセプトで展示をしているが、後半からは異なる趣を楽しめる。そんな展示会を堪能するために中野さんからアドバイスをいただいた。
「大阪の豪商やその家族たちの着物を通して、素材やデザインの質の高さ、細工の精巧さなど、細部まで行き届いた当時の職人の技を感じていただきたいと思います。また、着物の発色も時代によって異なりますので、色使いに注目してもらってもおもしろいかと思います。明治期になって西洋から染料が入ってきた影響もあり、近代的な色使いがされていることを感じられると思います」。
現代の日本人が知っているようで知らない着物の世界。日本伝統の着物文化をローカルの人たちに紹介する場としてはもちろん、展示を鑑賞することで日本文化を見つめ直すきっかけにもなるだろう。
KIMONO OSAKA’S GOLDEN AGE
▼会場:移民博物館(Immigration Museum) ▼日程:5月15日〜9月14日 ▼時間:10AM〜5PM ▼料金:大人$6、コンセッション、子ども無料 ▼Tel: 13-11-02
★Web: www.museumvictoria.com.au/immigrationmuseum

中野朋子さんプロフィル
大阪歴史博物館学芸員
1997年同志社大学大学院文学研究科博士課程前期修了
1997年大阪市博物館(現大阪歴史博物館)学芸員
染織史の講義を大学で行うなど、服飾の歴史を研究
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