50年近く前、大工だった夫が自分で建て、家族の思い出がたくさん詰まっているこの家を、自分が住んでいる間はそのままの形で残してほしい…。ピーター・ウィーバーさんが家族全員で同居できるように改築の話を持ち出した時、ピーターさんの母親のロナさんはそう答えた。このままで住むのは手狭だし、だからと言って息子家族とはできるだけ近くに住んでいたい。「そんな義母の希望をかなえるため、家の横に母専用の2ベッド・ルームの家を建て、2世帯住宅にしたんです」。ピーターさんの夫人、佳恵さんはこう話す。「年を取ってからも快適に暮らせるよう、家の中は玄関からずっと段差をなくしたり、大工も特に腕のいい人を選んだので、満足いく家になりました。当のロナはしょっちゅう旅行に出かけるので、あまり家にはいないんですけどね(笑)」。一家が住む母屋の方も、父親の腕が良かったのだろう。何十年も前に建てられたとは思えないほどしっかりとして、ゆがみもなく内装もきれい。その上、父親の残した思い出の品が所々に飾られていて、ウィーバー家が2世代に渡って暮らしてきた愛着が感じられる。このメルボルン西郊の海辺の町、アルトナには、彼が建てた家がほかにも何件も残っており、不動産会社に勤務するピーターさんが、時には自分の父親が建てた家を販売することもあるのだそう。自分が育ち、父の建てた家があるこの地域で、ピーターさんの知らないことはない。一家がこの家と土地にしっかり根ざしていることが伝わってくる。


|
| 左手前から、ソファーに座っているのが娘の鈴香ちゃんと麻実ちゃん、後ろに立っているのが佳恵さん、ピーターさん、ホームステイ中の島中万喜さん。ロナさんは旅行中で不在
|
|
 |
暖かみのあるラウンジ、広々として居心地がいい

1
ロナさんの家の寝室。ちり1つなくホテルの部屋のよう

2
母屋の中庭。バーベキューがブルー・ストーンの上に据え付けられているのがオツ

3
ピーターさんと父親がキャンプに出かけるたび、その土地で拾い集めてきたという古いボトルのコレクション

4 |