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企業研究

新日鉄オーストラリア
Nippon Steel Australia


現地法人設立から30年
資源新時代に挑む

 
 
鉄鋼から機械部品、自動車用鋼板まで、新日鉄の製品は社会のあらゆる分野で利用されている。その原料となる鉄鉱石は同社取扱いの約6割がオーストラリア産だ
 世界第3位の粗鋼生産量を誇る新日本製鉄。その現地法人である新日鉄オーストラリアが今年、設立30周年を迎えた。オーストラリアは、鉄鉱石・石炭ともに日本の輸入量の6割を超える最大の供給国であり、同社にとって重要性は高い。空前の資源ブームに沸くこの国でのビジネス戦略について、小林啓晃社長に話を聞いた。

 国内にほとんど天然資源を持たない日本は、工業の発展とともに資源を外に探し求めてきた。戦前は国内の鉱山から近隣アジア諸国へと資源供給先を拡大。戦後の高度経済成長が始まると、資源大国であるオーストラリアに目を向けた。当初はオーストラリア連邦政府が資源輸出を制限する政策を採っていたが、1960年代に鉄鉱石の輸出を解禁。日本の経済成長に合わせて、オーストラリアが資源を供給し、日本が工業製品を造って世界市場で売るという構図ができた。
 こうした鉄鉱石開発の黎明期から、新日鉄はオーストラリアに深く関与してきた。1970年に駐在員事務所を開設。その後、今からちょうど30年前の77年3月に現地法人を設立した。今年は「日豪友好協力基本条約」署名30周年を記念した日豪交流年。同社のオーストラリア事業の歴史は、日豪通商関係の発展の歴史と重なる。
 鉄鉱石と原料炭の供給をオーストラリアに求めた同社は、この国の資源産業の発展に大きく貢献した。何もない所に鉄道や港、町などのインフラを敷設して行う資源開発は膨大なコストがかかる。同社は10〜20年という固定的な長期契約を結び、開発業者はその契約書を担保に銀行から資金を借りて鉱山を開発した。新日鉄はこうした契約面での対応と併せて鉱山投資も行い、鉄の原料を確保するとともに鉱山投資のリターンを得るというビジネス・モデルを確立した。新日鉄は他社に先がけて、オーストラリアに限らず世界的にこうした原料開発への投資を積極的に行っており、新日鉄オーストラリアはその代表的な位置を占める。

価格高騰の背景に構造的変化
 
 
 現在では、中国の急成長を背景に原料価格が高騰、強い追い風を受けており、業績は好調だ。しかも、莫大な収益の割に、現地法人は小林社長を含めてわずか6人と効率の非常に高い少数精鋭部隊である。原料関連分野のほか、全体から見ると取扱量は少ないが、オーストラリア国内の自動車メーカーに対して、車体製造に使用される鋼板などに関する技術サービスも提供している。
「鉄鋼原料の分野は、オーストラリア抜きでは語れない」(小林社長)というほど、同社のビジネスに占める貢献度が大きい。オーストラリア経済に多大な利益をもたらしている資源ブームについて、小林社長はこう解説する。
「ここ2〜3年の資源ブームは、これまで溜まってきた需給ギャップが一気に爆発した形だ。鉄鉱石は7割近く、原料炭も2倍ほど値段が上がった。これは構造的な変化だ。今後、急激に高騰した分、調整はありえるが、元の価格に一気に戻ることはないだろう。引き金となったのは中国。鉄鉱石だけで日本の約2倍の年間2億7,000万トン輸入している。この5年間でおよそ2億トンも伸びた。急激な需要の拡大で供給が追いつかなくなる局面があった。その需給の不均衡が価格を急激に押し上げた」
 日本はオーストラリアと長年の信頼関係を築いてきたが、中国の存在は大きくなっていると言わざるをえない。このため、「鉱山のインフラ整備など日本のこれまでの貢献を忘れず、資源を引き続き安定供給してほしい」という声が日本側から出ている。
 小林社長はこう話す。「日本の貢献によってオーストラリアの資源産業がここまで発展したのは確かで、この点はしっかりとアピールしていきたい。ただ、継続可能な、健全な発展であれば、中国や東南アジアが発展していくことは、彼らにとっても我々にとっても良いこと。今後、産業がグローバルに発展していく過程で、基礎素材としての鉄の潜在的な需要は、将来的には現在の3〜4倍に拡大するのではないか」

30周年で社会貢献にも注力
 産出量が多く、加工もしやすいため、古くから人類の生活を支えてきた鉄。重くて錆びやすいという弱点はあるが、ほかの素材と比べて工業化のコストが格段に低い。しかも、鉄鉱石は地球上に数百年分の豊富な埋蔵量があり、1カ所に集中して存在する傾向が強いため採掘が容易だ。
 少なくとも今後数世紀間は資源枯渇の心配がない鉄鉱石と原料炭。今後も幅広く利用されることは間違いなさそうだ。今後の戦略については「優良鉱区を確保して、投資のチャンスを確実に把握しながら、投資権益をさらに拡大する。それに尽きる」と語る小林社長。30周年の今年は、原料積み出し港周辺に住む人の日本への招待と製鉄所見学の提供、日本の大学での資源論講座の実施、交換留学生のあっせん、メルボルン五輪50周年に合わせたスポーツ交流など、これまでの支援に感謝する数々の社会貢献事業を計画している。


小林啓晃社長

1955年大分市生まれ。東京大学法学部卒。1979年入社。主として原料部門で豪州・インド・ブラジル・中国などからの原料購買に従事。独デュッセルドルフにも駐在。2005年7月より現職

<小林社長に聞く10の質問>
〆賊Δ量叩 「できると信じることだ。信じれば、そうなる」(野口英世)
∈F匹鵑任い詼棔А嵒絞鼻廖屮乾襯佞凌誠顱廖峽法への招待」
オーストラリアの好きなところ:明るく開放的な人柄・美しく壮大な自然
こ阿ら見た日本の印象:国家としても人間としても 志が無さ過ぎる。
スイな音楽:バッハ
β嵯匹垢訖諭Ъ駄召蝋気┐泙垢、貧しくとも信念を貫く大学の先輩(複数)
有名人を3人食事に誘うとしたら誰 ? :沢口康子・真野響子・星野知子
┝駝またはスポーツ:ボート(72.5Kg級)、音楽、法律
将来の夢:目標は弁護士になって100歳まで働くこと、夢は郷里大分に自前のボートハウスをつくること
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