西川リビング・インターナショナル
Nishikawa Living International
シドニー進出を足がかりに
世界市場に照準合わせる
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西川リビングは、「睡眠環境科学研究所」を設置し、快適な睡眠のための研究開発も行っている
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オーストラリア人には新鮮に映るふとんと低いベッドの組み合わせ
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今年5月、シドニーにショールームをオープンした日本の寝具・寝装品・インテリア用品の総合メーカー、西川リビング(本社・大阪市中央区)。創業440年の老舗が今、オーストラリア進出を果たした背景には何があるのか
? 同社の中村栄太郎社長(兼 西川リビング社長)にビジネス戦略を聞いた。
近江商人――。古くから起業家を数多く輩出している近江(現在の滋賀県)を創業の地とする日本企業は少なくない。6月号「企業研究」で紹介した大手総合商社、丸紅も1858年に近江で創業している。今回取材した西川リビングの創業は、これよりさらに約300年さかのぼる1566年。初代・西川仁右衛門が蚊帳(かや)などの生活用品の販売を始めたのがその源流だ。
今年で実に創業440周年という老舗中の老舗。約4世紀半もの長い歴史を歩んできた背景には、中村社長の言葉を借りると「常に画期的な商品開発や市場の開拓、質素倹約の経営姿勢、時代に先がけた組織運営」があるという。
創業期の蚊帳や畳表(たたみおもて)から、江戸中期には弓問屋も併営するなど、取扱商品を次第に拡大、拠点も日本国内に広げていく。現在の主力商品であるふとんを扱い始めたのは1887年。1934年には初の海外支店を現在の韓国に設立、台湾や天津にも拠点を設けた。第2次世界対戦で海外からは撤退したが、戦後、国内で事業規模を拡大し、日本市場では「ふとんの西川」として確かなブランド知名度を獲得した。
羊毛を豪州から輸入
同社が生産するふとんや毛布の原料として欠かせないのが羊毛だ。その有力な生産地であるオーストラリアと同社の深い関係は今に始まったことではない。豪州産羊毛を買い付けるだけではなく、2001年にはメルボルン郊外に直接進出して「西川ファーム」を設立、ふとんの原料となる良質な羊毛を安定的に確保できるようになった。
このように同社は、原料の有力な供給先としてオーストラリアと付き合ってきたわけだが、今年、シドニー南郊マスコットにショールームを開設した背景には、経営上の重要な戦略があった。日本の市場には中国などアジアからの安価な商品が流入してきている。こうした状況を見て、中村社長は決断した。
「当社の商品の可能性を海外に問いかけてみることにした。そこで、羊毛原料でつながりの深かったオーストラリアを進出先に選んだ」
オーストラリア進出を決めたのは、今から2年前のこと。当時、ウールが持つ調湿性という長所を最大限に引き出した同社製の羊毛肌ふとん「ビューティースター(Beauty
Star)」が日本でヒットしていた。中村社長は、コットンの生地とオーストラリア産ウールの中綿などすべて天然素材を使用したこの商品に商機を見出した。
「オーストラリアでも、この機能性を前面に押し出し、ほかにはない差別化された商品として提案していけば、ナチュラル志向の強いオーストラリア人に必ず支持してもらえる」
また、同社の幅広い商品群の中でも、ふとんカバーを中心に展開するブランド「ジェイスタイル(J-style)」にも注目した。同ブランドは、モダンな和風テイストをコンセプトにしている。日本風のインテリアや小物が人気を集めているオーストラリアの消費者に受けるとの読みがあった。
確かな手ごたえを得たのは、ショールーム開設の10カ月前。メルボルンで開かれたインテリア用品の見本市「ファニテックス(Furnitex)」に、「ビューティースター」「ジェイスタイル」などのブランドの商品を出展したところ、その独自性とデザインの良さが絶賛されたという。

和風テイストと西洋ライフスタイルを融合したベッドやインテリア用品が並ぶシドニー南郊マスコットのショールーム |
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メルボルン郊外の牧場「西川ファーム」では、ふとん用の良質な羊毛を生産 |
同質化の競争はしない
とはいえ、まだ進出したばかりの「NISHIKAWA」。オーストラリアでのブランド知名度はまだ低い。効果的な広告宣伝を行い、質の高いサービスを浸透させることによって、消費者の認知度を高めていくことが最大の課題だが、中村社長は「既存の競合メーカーが多数ある中で、同質化の競争のために日本からやってきたのではない。『ほかにはない』商品とサービスを提供することをあくまで主眼としている」と語る。他社製品と差別化したオンリー・ワン戦略を貫き、独自の市場を開拓していく。
そうした自信を裏付けているのが、素材の選定から加工・生産の行程においての徹底した品質管理による「西川品質」だと、中村社長は強調する。妥協を許さないモノ作りに対する姿勢は、日本製造業が伝統的に培ってきた、世界に誇ることのできる美徳でもあると同時に、同社の最大の強みでもある。
「商品の品質は、オーストラリア市場の他社製品と比較して、十分に対抗しうるだけの競争力を有していると考えており、消費者には必ず満足してもらえると考えている」。そう話す中村社長の目は、オーストラリア市場だけにとどまらず、既に世界展開に照準を合わせている。
「オーストラリアでのビジネスを軌道に乗せることができれば、それが将来的な世界進出への足がかりとなる。昭和初期にアジアで展開していたように、長い年月を経て、今またそのチャンスが巡ってきた」
日本と西洋のインテリア・デザインを融合させた、新しいライフスタイルを提案する西川の商品が、世界で受け入れられるかどうか。オーストラリア市場での成功がそのカギを握っている。
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中村 栄太郎 社長(兼 西川リビング社長)
1943年生まれ。1965年明治大学経営学部卒。同年大阪西川(現・西川リビング)入社。95年取締役。96年ふとん部長。2001年常務取締役。03年商品本部長兼ふとん部長兼ふとん類統轄部長。04年2月より現職 |
<社長に聞く10の質問>
〆賊Δ量叩А嵜佑棒椶垢襪暴嬋の如く、自らを戒めるに秋霜の如し」。意味は春風のように穏やかな気持ちで人に接し、秋の冷たい霜のような厳しさで自分自身を律すること。
∈F匹鵑任い詼棔А嵎弧席壊」。最近では、環境、人口減少、高齢化問題に関する本を手に取ることが多い。
オーストラリアの好きなところ:自然に恵まれた美しい風土とゆったりとした時間、そして、誠実な人柄を持つ国民性。
こ阿ら見た日本の印象:少子高齢社会、急速な国際化(ビジネス、文化など)。
スイな音楽:オールド・ジャズやクラシック(とくにシューベルト、モーツァルト)などの軽やかで心が和み、豊かな気分にさせてくれる音楽。
β嵯匹垢訖諭Ю樟遒鯀篭箸靴神樟鄂留Ρ厂腓箴床偲鉄鏤唆箸両床執之助氏。創業者の生き方や考え方、事業に対する取組み方の精神に共鳴する。
有名人を3人食事に誘うとしたら誰 ? :市田ひろみ(服飾評論家)、浅田真央(フィギュアスケート)、カリー・ウェブ(オーストラリアのプロ・ゴルファー)。
┝駝またはスポーツ:音楽鑑賞、読書、散歩(ゴルフも含む)。
将来の夢:西川リビングを世界に輝く「快眠ソリューション企業」に成長させること。
カラオケの18番:自ら進んでマイクを持つことはないが、強いて言えばハワイアンや石原裕次郎。