NIKON AUSTRALIA PTY LTD
確かな技術力生かし豪州市場でシェア拡大狙う |
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萩森恭ー社長
1984年立教大学法学部卒。石油会社勤務を経て89年ニコン入社。本社管理部門勤務の後、93〜99年ニコン・フランス。駐在中に営業部門に転身。99年に帰国後は一眼レフ・カメラの商品企画、国内販売会社の営業課長。2004年からニコン香港・国際販売部ジェネラル・マネジャー。06年11月から現職 |
全世界でデジタル一眼レフ・カメラの販売シェアを拡大し、2007年3月期の連結売上高を8,000億円と見込むなど、創立90周年を迎える今年、勢いに乗るニコン。そのニコンが、昨年11月にオーストラリア現地法人ニコン・オーストラリアを開設した。萩森恭一同社社長に豪州市場における戦略について話を聞いた。
世界出荷台数シェア4割強
株式会社ニコンは、カメラ、デジタル・カメラ、双眼鏡、顕微鏡、ステッパー(半導体露光装置)、メガネなどを製造・販売する、今年創立90周年(1917年創立)の日本を代表する光学機器メーカーだ。液浸露光技術を採用した半導体露光装置や、マルチ・レンズ・スキャン方式の液晶ディスプレイ露光装置、顔認識AF機能を搭載したデジタル・カメラなど、独自技術を最大限に駆使しながら、ニコンならではの特長を持った製品開発に注力している。2007年3月期の連結売上高は8,000億円、営業利益は820億円を見込み、3期連続の増収増益と最高益更新はほぼ確実な情勢だ。
主力であるカメラ事業では、「プロのニコン」と称されるように、古くから銀塩(フィルム)一眼レフ・カメラが報道機関や出版・広告分野のプロ・カメラマンに支持されており、この高い信頼度を誇る銀塩カメラで培った技術をベースにした、光学機器メーカーならではのデジタル・カメラの販売が好調。昨年の年末商戦12月に発売した入門者向けデジタル一眼レフ「D40」と中級者モデル「D80」が売り上げを伸ばし、同月の日本国内の販売台数シェアは49.8%と首位。「今年1月から2月においては国内で5割を超えた。世界出荷台数シェアも4割強」(萩森氏)という。この飛ぶ鳥を落とす勢いのニコンが昨年11月1日、豪州市場での映像製品販売・サービス体制の強化を目的に、シドニー郊外リッコム(Lidcombe)に現地法人を設立、営業を開始した。
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「クールピクス」シリーズの「S500」。
3倍の光学ズーム・レンズに手ブレ補正機能を搭載した世界最小光学手ブレ補正付デジカメ。軽量化を図るとともに起動時間も0.6秒、シャッター・タイム・ラグも0.005秒と、レンズ・シフト式手ブレ補正機能搭載のデジカメでは世界最速を実現。549ドル(RRP) |
現法化で豪州市場シェア拡大狙う
ニコンの豪州市場進出は、銀塩カメラの輸入・販売・サービス業務の代理店としてマックスウェル・フォト・オプティクス社が業務を開始した1959年にさかのぼる。その後、マックスウェル・オプティカル・インダストリー社が同業務を引き継ぎ、昨年までニコン製品のディストリビューションを行っていた。ニコンは、映像製品のデジタル化が進展する中、一層のビジネスの拡大を図るためには、より強固なマーケティング、販売、サービス体制の構築が必要と判断。ニコン全額出資の現法販売会社を設立するに至った。
従業員数は約50人。資本金は400万ドル。ニコンのさまざまな事業の中でデジタル・カメラ、交換レンズ、フィルム・スキャナーなどの映像関連製品、双眼鏡の輸入・販売・アフター・サービスが主な業務内容。至上命題はマーケット・シェアの拡大だ。
実はオーストラリアは世界最低のシェアが続いた。代理店自身、カメラ業界が銀塩からデジタルへシフトした際に環境の変化、デジタル化の波に乗れずデジカメの商売で苦戦を強いられた。事業の核であるデジタル一眼レフ・カメラで2割前後、世界平均では1桁台後半、市場によっては2桁のシェアを確保しているコンパクト・デジカメに至っては1桁台前半のシェアしか確保できなかった。「先進国の中で唯一、ニコンというブランドが浸透していないこの国でブランドを浸透させること。高級な一眼レフだけでなくすそ野を広げ、一眼レフでもファミリーやアマチュアが簡単に使えるカメラや、コンパクト型のデジタル・カメラを市場に浸透させること。そして、いち速くほかの国並みまでシェアを持っていくことが使命」と萩森氏は言う。
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| 「L12」。光学3倍の手ブレ補正機能を搭載した高性能モデルながら、軽量プラスティック・ボディで、かつ単三型電池で楽しめる一般量販向けデジカメとして349ドル(RRP)を実現 |
一般消費者向け製品で実力をアピール
萩森氏はその豪州市場をほかの地域と性質が異なり、「ひと言で言うと豪州市場はプライス・コンシャスなマーケット」と分析する。最たる例がクリスマス商戦。「Kマート」などのマス・マーケットで韓国系や米国系メーカーの桁外れに安いデジタル・カメラが飛ぶように売れるのだ。しかし、ただ安ければよいという単純なものではないとも考える。「物へのこだわり、品質に対する評価、価値観を理解する人もこの国には多くいると見ている。ニコンがずっと続けてきた“いい物作りへの情熱”は必ず受け入れられるはず」と自信を見せる。その自信の一例となっているのが前述のヒット商品デジタル一眼レフ「D40」だ。プロ向け上級モデルの研究・開発で培った技術力を生かし、それを一般コンシューマー向け、特に初心者や女性ユーザーを意識して小型化、軽量化。とにかく誰でも簡単にいい写真が撮れるというコンセプトのもと開発し、機能にこだわりつつ価格にもこだわり、デジタル一眼レフ・カメラで最高のコスト・パフォーマンスを実現した。
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| 「D40x」。ヒット商品「D40」の心臓部(CCD)を6メガ・ピクセルから10メガ・ピクセルに変更。レンズ「AF-S18-55G」とセットで1,399ドル(RRP)とリーズナブルな価格を実現 |
そして、「ニコン=一眼レフ」「上級者向けで近寄りがたい」というイメージを払拭するコンパクト型デジタル・カメラ「クールピクス」にも期待する。手ブレ補正機能が付いたカメラとしては世界最小、起動時間も世界最速を実現した。家電メーカーが参入し競争が激化するコンパクト型市場で、光学機器メーカーとしての技術力、優位性を市場に十分にアピールできる商品と言えそうだ。
「オーストラリアのデジタル・カメラ市場の買い換え需要はこれから。市場規模で現在180万台のコンパクト型、9万台の一眼レフともに、今年はそれぞれ1割程度は上向くと予想している。その中でニコン・ブランドをいかに浸透させ、目標にこだわらずシェアを伸ばせるか。これにはブランド認知度を高めるマーケティングが必要不可欠で、それなりの投資も必要。製品の確かさを積極的にアピールしていきたい。目標シェアは、伸び率でいうと実はとんでもない数字。しかし、ほかの国でできてオーストラリアでできないことはない」――。
萩森氏は確かな技術力に裏打ちされた自信を隠さない。
<萩森社長に聞く10の質問>
- 座右の銘:「速戦即決・即決即断」。ただ異文化に来たら「百戦錬磨・百折不撓」
- 今読んでいる本:某競合メーカーのことが書かれたビジネス書、祖母のことを島田洋七が書いた「佐賀のがばいばあちゃん」を息抜きに
- オーストラリアの印象:澄んだ空気と大らかな人柄。驚いたのはワインがびっくりするくらい美味しくて安い。フランス・ワインと比べて遜色なし。BYOシステムも素晴らしい。
- 外から見た日本の印象:超一級の技術力と強靱な組織力。その反面、個人の顔が見えない点を感じる。
- 好きな音楽:70〜80年代のソウル系ダンス・ミュージックが昔から好き。最近は2歳の娘と一緒に童謡やマンガの主題歌を聞くことが多い。
- 尊敬する人:仕事上、アフター5、プライベートで尊敬する人は多い。強いて挙げるなら私生活の面で多くを学ばせてくれる妻。吸収しているかどうかは別にして(笑)
- 夕食に招待するなら:元F1ドライバーのニッキ・ラウダ、ミハエル・シューマッハ、アラン・プロスト。4人で食事して、車談義に花を咲かせたい
- 趣味:ドライブとゴルフ。でも最近は2歳の娘と遊ぶのが趣味に。
- 将来の夢:南国の太陽の下で何も考えずにのんびりできる時期が来れば…(引退後)
- カラオケの18番:中西保志「最後の雨」。これまで100回以上は歌っていると思う