日立オーストラリア
独自の技術・開発力生かし新市場開拓目指す |
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椙原裕社長
1948年生まれ。70年早稲田大学商学部卒。同年、日立製作所入社、海外営業部門に配属。鉄道車両、コンピュータ関連機器などの輸出業務に従事。1985〜87年にマレーシア、90〜96年にはシンガーポールに駐在。その後、本社管理部門で輸出管理業務に従事。2005年5月より現職 |
日立製作所は明治43年(1910年)に創業され、2010年で100周年を迎える日本を代表する総合電機メーカー。創業以来、「自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」ことを基本理念とし、「和」「誠」「開拓者精神」に代表される創業の精神を継承しながら、企業活動を行っている。06年3月末日現在で、資本金282,033百万円、従業員数41,157名、連結従業員数355,879名、また06年3月期で売上高2,713,331百万円、連結売上高9,464,801百万円となっている。豪州では40年以上前から、火力発電所用電力機器の納入など社会基盤事業に積極的に取り組んできたほか、一般消費者向けにデジタル・メディア製品や家庭電化製品などを販売している。昨年末にはシドニーのRailCorpに納入する鉄道車両を地元企業と共同で受注するなど活動が活発化する日立オーストラリアの椙原裕社長に、同地での営業戦略について話を聞いた。
■創業100周年をエポック・メイキングな年に
日立製作所がシドニー駐在所を設立したのは1966年。火力発電所用電力機器の納入など社会基盤事業の展開を目的とした現地リエゾンとして活動し、68年に日立製作所オーストラリア事務所と改称した。一方これとは別に、当時日立製作所の関連会社であった日立家電販売が、同地での家電販売を目的とした日立セールス・オーストラリア社を73年に設立している。その後、68年に作った日立製作所オーストラリア事務所をベースに83年に日立オーストラリア・リミテッドを設立。96年に日立セールス・オーストラリアを吸収合併、06年7月に日立オーストラリアPty
Ltdに改称し、現在に至っている。
日立オーストラリアは日立製作所100%出資の現地法人。シドニー、ブリスベン、メルボルン、アデレードに事務所を構え、電子部品部門、コンシューマー・プロダクツ部門、空調部門、電力・電機部門の4事業部門に加え、情報関係のメンテナンス・サポートを行うアジア・パシフィック・サポート・センター、コンシューマー・プロダクツ部門と空調部門の企画・物流サポートを担うビジネス・プランニング・センターの2サポート部門を擁する。資本金は190万ドル。
07年度の売上予算は06年度の20%増を計画。中期プランとしては、日立製作所が創業100周年を迎える2010年に06年度の約2倍の売上を目標に据えており、「2010年は日立製作所にとって新しい時代を迎える節目の年。日立オーストラリアにとってもエポック・メイキングな年にしたい」(椙原社長)と言う。
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| 指静脈認証機器 |
■主力4部門を豪州市場で展開
コンシューマー・プロダクツ部門ではデジタル・メディア製品と家電製品を、ハービーノーマン、ナルタ、グッドガイ、レトラビジョンなどの大手量販店グループを中心に販売。また、空調部門では業務用から家庭用まで幅広い同社製空調製品を扱っており、ディーラーとメカニカル・コントラクターを主な販売チャネルとしている。
電力・電機部門は、QLD州、VIC州にある4火力発電所に現在までに納入した14基分のボイラー、タービン、ジェネレーター、GISなどの電力機器の、性能維持、性能向上のための補修業務が主となっている。電力・電機部門ではほかに、工業用インク・ジェット・プリンター、チェーン・ホイスト、プログラマブル・コントローラー(PLC)などを販売している。
最近注目を浴びた社会基盤事業が、シドニー近郊の鉄道路線運行会社であるRailCorp向け通勤電車78編成626両を、特別目的会社であるReliance
Railから受注した案件。豪州の鉄道車両メーカであるEDI Railとコンソーシアムを組み、EDI Railが車体の製造、日立が電気品の製造をそれぞれ担当することになっている。今回納入される車両については、2010年から13年にかけて、順次既存の車両と置き換えられる予定だ。
電子部品部門でも独自の技術・開発力を生かした製品の販売が活発だ。三菱電機と日立製作所の合弁会社ルネサス・テクノロジが製造する半導体をはじめ、液晶ディスプレイのほか、特に力を入れているのがセキュリティー・システム「指静脈認証システム」の販売。日本では既に同システムがATMに一般化しているが、ATM以外でもドア・アクセスやパソコンのログイン・システムといったセキュリティー面で利用価値が高い。当地においても既にサンプル出荷を始めている。
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| シドニーRailCorpに納入予定のダブル・デッカー車両 |
■プライス・コンシャスな豪州市場で高級品志向層向けにシェア獲得目指す
豪州市場について椙原社長は、「基本的に輸入品市場。全世界の製品が市場に投入されており、世界で一番値下がりが激しい市場とも言われている。あらゆる業種で競争が激甚」とその特徴を分析する。実際、日本メーカーのほか、韓国勢や中国勢もおり、「プラズマTVなどは世界で一番競争が激しいのではないか」。液晶も最近は非常に安い製品が市場に溢れており、家電に関してはプライス・コンシャスな市場と感じている。
「とは言え、ブランドや品質にこだわる層もある。日立としては、そういった高級品志向層向けを中心として高級品を投入することで高価格帯での市場シェアを確保したい」(椙原社長)。
その中核がフルHD薄型テレビだ。デジタル・ハイビジョン放送や次世代DVDにも対応する高解像度の42インチ、50インチという大画面テレビを、特に9月のラグビーW杯前を1つの商戦と考え市場に投入していく。継続的に60インチも投入予定だ。また、日本でも高いシェアを誇るハードディスクとDVDを搭載したハイブリッド・カムコーダーの販促にも注力しており、これら高級商材で利益率の高いビジネスを展開したい考えだ。
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| デジタル・チューナー内蔵のフルHDプラズマTV。写真は42インチ |
一方で、「電力システムや鉄道システムといった社会基盤事業の強化を図っていくと同時に、指静脈認証システムをはじめとした新製品の市場開拓にも力を入れていきたい」と椙原氏。指静脈認証システムのほかに新市場開拓に自信を持つのが、RFID(電波で認識や証明を行う無線自動認識)技術を使った「ミューチップ」だ。ミューチップは日立製作所が開発した世界最小レベル(0.4mm角)の超小型無線自動認識ICチップで、タグに活用できる。その小ささと薄さにより、従来では難しかった紙への装着をはじめ、さまざまな素材やパーツへの装着が可能。物流における荷物のデータ管理や、商品の真正性判別、展示会やセミナーなどでの来場者管理など幅広い利用が期待できる。
課題もある。豪州市場でのブランド力の向上だ。「日本に比べ、日立の知名度は海外ではまだ低い。豪州では特に低いと認識している。この点は、在豪の日立のグループ各社とともにその向上に努めたい」(椙原社長)。2,000万人という決して大きいとは言えない市場規模、しかも競争が非常に厳しいという特徴を持つオーストラリアで、日立独自の優位性をいかに訴求していくかに期待がかかる。
<椙原社長に聞く10の質問>
1. 座右の銘:臥薪嘗胆、一期一会
2. 今読んでいる本:「ローマ人の物語」塩野七生著
3. オーストラリアの印象:スローライフ
4. 外から見た日本の印象:(早く立ち直って欲しいが)バブル崩壊後の後遺症を引きずっている国
5. 好きな音楽:クラシック
6. 尊敬する人:(興味のある人)アレキサンダー大王、ユリウス・カサエル、チンギス・ハン
7. 夕食に招待するなら:(現在、単身赴任中なので)家族
8. 趣味:ゴルフ、読書、旅行、コンピュータ
9. 将来の夢:悠々自適
10.カラオケの18番:(歌わないことはないが18番は)なし