伊藤忠豪州会社
資源投資事業と
新規プロジェクト開発で
さらなる拡大目指す |
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斎藤龍三社長
東京都生まれ。1975年、横浜国立大学卒。同年、伊藤忠商事入社。アブダビ、ロサンゼルス、ヒューストン駐在などを経て、99年ドーハ事務所長。本社天然ガス事業開発部長、エネルギー開発部門長代行を歴任し、2006年4月より大洋州総支配人兼伊藤忠豪州会社社長 |
伊藤忠商事は、1858年に初代伊藤忠兵衛氏が麻布の行商で創業したことに始まり、約1世紀半にわたって繊維、機械、情報・通信関連、金属、石油などエネルギー関連、生活資材、化学品、食糧・食品などの、各種商品の輸出入・海外取引、さらにはそれらに関連する事業への投資を多角的に行い、安定的かつ継続的に連結純利益1,000億円以上を達成する企業グループへと成長を遂げた総合商社だ。同社の全収益のうち5割以上が海外で稼ぎ出され、その海外事業収益の3割という最大シェアを占めるのが豪州ブロックである。グループ全体の中で非常に重要な同エリアを統括する伊藤忠豪州会社の斎藤龍三社長に、同社の経営戦略について話を聞いた。
羊毛買い付けに始まる豪州73年の歴史
「当社は今年2007年に現地法人設立50周年を迎えたが、豪州での歴史は実はもっと長い」。米国、カタールなどの海外駐在経験を経て、06年4月に同社社長・大洋州総支配人に就任した斎藤氏は、豪州市場での伊藤忠の歴史は現地法人が開設された1957年よりもさらに23年も遡ると言う。
伊藤忠商事が初めて羊毛の取扱いを豪州と始めるため、社員を派遣したのが1943年、駐在事務所を構えたのが1937年。その後、第2次世界大戦を挟み、47年に羊毛輸出を再開、57年の現地法人化に至る。海外経験を積ませることを目的に若手社員を積極的に派遣していた現地法人化当時、つい最近までNSW豪日協会副会長を務めた林眞彰氏を当地に派遣している。林氏は58年のメルボルン支店開設、61年のフリーマントル支店開設、66年のアデレード支店開設を経た羊毛買い付けの全国展開で手腕を発揮。67年に伊藤忠豪州会社を羊毛買い付け高世界ナンバー1にし、“羊毛を世界で最も買い付けた男”と称されるまでに至った。この年より同社は2005/06年度までの40年間連続で羊毛買い付け高トップの座を維持した。
羊毛商として豪州市場で基盤を築いた同社が、多方面に事業展開するようになるのが67年以降。豪マウント・ニューマン社との合弁事業により鉄鉱石事業に乗り出したのを皮切りに、73年の石油危機を挟み、80年に日本の電力会社3社との合弁会社を通して北部準州でのウラン鉱山開発権益を取得、日本向け輸出を開始。その後、資本参加という形で各方面へ事業を拡大。地元企業と提携し、肉牛の穀物肥育事業や食糧事業を展開したほか、67年に日本の製紙会社と組んで設立した原生林をベースにしたチップ工場をスタートに、植林事業に着手。自社で木を植えチップを生産し日本に輸出するという、持続可能な事業を展開。資本を拡大させている。
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| 豪州で初めて伊藤忠が資本参加したWA州クリヘッド油田 |
鉱物資源の投資・輸出が主要事業に
伊藤忠商事の中で、豪州ブロックのオペレーションの核である伊藤忠豪州会社は現在、シドニー本店を中心に、ブリスベン、パース、メルボルンの3支店とともに、同ブロックで各事業分野ごとに展開している11の主要事業会社を運営している。子会社を含めた従業員数は126人を数え、07年3月時点のグループ取扱高は20億ドルに迫った。
主な事業分野は、木材チップ、セラミックなどの物資分野、羊毛買い付けを行う繊維分野(本社に移管予定)、穀物・畜産・水産などの食糧分野、IT・情報分野、合成樹脂・ガラスに利用されるケイ砂など化学品分野、石炭・鉄鉱石・アルミナ・石油・スチールなどの資源・エネルギー分野など。
中でも、近年の世界的資源ブームに乗る形で、天然資源、石炭、エネルギーの各ディビジョンに有する多数子会社の持ち株・統括運営会社「伊藤忠ミネラル&エナジー・オブ・オーストラリア」が展開する資源・エネルギー分野が、全事業の中でもメインとなりつつある。
最近の事案では、BHP社が行う約26億ドルの鉄鉱石の鉱区拡張事業に8%(2億ドル弱)を出資、2010年のプロジェクト終了までに1億5,500万トンの産出が見込まれている。
「投資事業を含め鉱物・資源分野の占める割合は増大傾向にある。現在までは日本向けの需要をベースに行っていたが、ここ数年のインド、中国など発展途上国の需要の急増が、この傾向を強めている」と斎藤社長。また、同社の業績でこれに次ぐのが植林事業を含めた木材チップ分野で、オーストラリアから日本へ向けた年間輸出量1,000万トンのうち、最大シェア2割を占める。
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| QLD州のニューランズ炭坑 |
豊富で高質な資源と安定性が豪州最大の特徴
世界134拠点に展開する伊藤忠商事の世界展開の中で、豪州ブロックは「非常に重要な市場」であり高い位置づけにあると斎藤氏は言う。
「豪州は豊富な天然資源、鉱物、エネルギー、森林、食糧がある。これらはこの国に限ったことではないが、最大の特徴は、豊富なだけでなく政経状況が非常に安定している点」。カントリー・リスクが常に伴う中東などで石油やガスを扱った経験から、豪州はこの点が大きく異なると斎藤氏は指摘する。
この相違によって当然、戦略的な意味合いも異なってくる。「豪州は豊富な資源があり、カントリー・リスクが非常に低く安定しており、さらに高品質。鉱区で掘って輸送して出すまでの、インフラを含めた品質が非常に高い」。クオリティーが高い分もちろん値段も高くなるが、計画通りに出荷することが計算できる国という意味で、本社の世界展開の中で重要視されている。豪州会社としてもここでの天然資源への投資事業をベースに、本来の商社の生業である取引も拡張し、商売全体を増やしていくことで収益に結びけるという構図が描きやすいという。
今後の展望としては、本社が提唱する中期計画に基づき、豪州ブロックでのさらなる収益拡大を目指す。その際に重要になるのが資源の確保だ。豪州との貿易で存在感を増し、豪州からの輸出量、総貿易量ともに日本を抜き首位に立った中国の動きを注視しつつ、日本輸出向けの資源をどう確保していくかが大きな課題と言う。「そのためには、今後ますます投資事業を拡張し、一方で新規プロジェクトを開発していくという形で資源確保を目指し、同時に収益も拡大させたい。まずは各分野ごとに少なくとも1つ以上新規プロジェクトを立ち上げ、また、現地の有力企業との連携も深めていきたい」。
それと同時に斎藤氏はグローバルな展開も視野に入れる。対日輸出のための資源確保をベースにしながらも、中国や韓国、インドなどの企業とも合弁事業を展開し、日本の顧客との連携関係も創出したい。業界の調整役として日・豪・そのほかの国の発展に貢献することも、商社としての役割と考えている。
企業が人を育て、人が企業を育てる
斎藤氏は、これらの発展を支えるのは最終的には人材と考えている。「豪州での商売を伸ばしていくのに必要となるのは現地スタッフ。彼らに伊藤忠という会社を理解し、仕事に魅力を感じてもらい、定着してもらいたい」。最近では現地スタッフ向けの研修制度を設けるなどし、スタッフの育成に力を注いでいる。「良い人材が定着し、パワーアップしてもらうことで、組織の力は大きくなる」。人材の育成と魅力ある組織作りを進め、さらなる展開を目指す。
<斎藤社長に聞く10の質問>
〆賊Δ量叩Э瓦けているのは「One for All, All for One」の循環型チームワークと「率先垂範」
∈F匹鵑任い詼棔Р弾仁著「社長の椅子が泣いている」、王曙光著「栄家の血脈」、東野圭吾著「夜明けの街で」
オーストラリアの好きなところ:身近に豊かな自然があり、それが社会に溶け込んでいる点、駐在経験から中東や米国に比べ親日的、安全で清潔。
こ阿ら見た日本の印象:品質が高く割安、しかもバラエティーが豊かな商品・サービス市場。良くも悪くも「ホモジーニアス」。教育水準、倫理観が高い。
スイな音楽:シティ・ジャズ。女性ボーカルではサラ・ブライトマン
β嵯匹垢訖諭Дぅ鵐匹糧麕塾榔親阿了愼骸・政治家、マハトマ・ガンジーの人柄・生き方に憧れを感じる。
有名人3人を夕食に招待するなら:ヒラリー・クリントン、カルロス・ゴーン、松嶋菜々子(個別に)
┝駝(スポーツ含む):読書、ゴルフ、ヨガ、ウォーキング(米国駐在の単身時に始めて以来、毎日続けている早朝の散歩)
将来の夢:月並みだが妻と世界一周クルーズ。ボランティア活動を通した社会貢献。
カラオケの十八番:BEGINの「涙そうそう」とサザンの「涙のキス」