書家れんのつきいち年中行事
- 第2回 夏越しの祓 [2008/6/27]
書家れんのつきいち年中行事
第2回
夏越しの祓
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著者プロフィル
れん(書家)。アーティストとして永住権を取得。シドニー市内「東」「四季」「だるま」「霞」の各レストラン、「Yuga Floral Gallery」に作品を常設。Government Houseでの企画展参加をはじめ、日豪両国で個展・グループ展を多数開催。NSW州立美術館やChannel 10での大書パフォーマンスの経験も。「書団れん倶楽部」主宰。書道教室運営。 renclub@digisurf.net.au
ご機嫌いかがですか、れんです。
秋真っ只中のシドニーでは朝晩の肌寒さがすっかり定着しました。私はウィークデーの朝夕にシティのハイド・パークを通るのですが、今の時期、緑色に広がる芝の上に薄い茶色の落葉が一面に散りばめられている光景を目にします。それは、十色に変わった木々の姿と見事なまでの調和を作り出し、心洗われる気持ちにさせてくれます。自然の織り成す美に触れることは究極の癒しかもしれませんね。
さて、今月は『大祓(オオハラエ)』についてご紹介します。
皆さんは、神社で罪や穢れをきれいに除いてもらう「お祓い」についてはよくご存知だと思いますが、『大祓』はそれが宮中の年中行事となったものです。宮中をはじめ全国各地の神社で6月と12月の晦日(新暦では6月30日と12月31日)に行われ、6月のものを特に「夏越し(ナゴシ)の祓い」(12月のものは「年越しの祓い」)と言います。
歴史的には701年に成立した大宝律令(残念ながら現存しません)で日本全体の罪や穢れ、邪念、不浄、災厄などを取り除くための祭事として正式に定められたというので、「祓い」という儀式はそれ以前からかなり重要なものとして人々に認識されていたのでしょう。
全国の神社でも個人救済のための儀式があります。前半年の間に知らず知らずのうちに積もった罪や穢れを祓い、また夏の暑さで弱りがちな身体の禊(ミソギ)をすることで、清々しい力に満ちた新しい自分に生まれ変わろうというわけです。
鳥居の下や境内に作られた茅(チガヤ)の大きな輪をくぐる「茅輪(チノワ)くぐり」や、自分の穢れを移して神社に納めた紙の人形(ヒトガタ)を神職が小川に流す「人形流し(京都・上賀茂神社など)」が行われます。また、人形を浄火で焚上げするところもあります(福岡・太宰府天満宮など)。
『水無月の なごしの祓 する人は ちとせの命 のぶといふなり』
平安時代の中期、今から1,000年ほど前に作られた勅撰和歌集の拾遺和歌集(卷第五・賀)に収められている歌ですが、今も昔も、長寿を願う人間の思いというのは変わらないものなんですね。
では、作品の方の説明をします。
いろいろ書いた中から太目の隷書体のものを選んでみました。隷書体などと言えば小難しく疎遠な感じがするでしょうが、直線的で複数の文字の形をそろえやすいこの書体は、今でも看板やロゴ、商品パッケージなどさまざまに使われていて、注意して見ればいくらでも探すことができます。もし1万円札が手元にあればご覧ください。「日本銀行券 壱万円 日本銀行」の文字が隷書体です。
皆さんがよくご存知の楷書体と違う点の1つは、起筆(線の書き始め)に「逆筆」と呼ばれる技法が使われているところです。左の作品を見ていただくと分かると思いますが、書き始めが丸くなっています。これは起筆の時にいったん、進行方向とは逆の方向に筆を入れ、そしてそこから戻りながら線を引いているのでこんな形にできるんですね。これも読んでいるだけでは難しそうに感じるでしょうが、実際に筆を持ってみると初心者の方でも簡単にできます。
自分の書いた字がバラバラに見えて困るというような方は、隷書体を学ぶことによって全体をそろえる感覚を身に着けられるかもしれませんよ。
『大祓』。祓い方が足りないのか、効き目が落ちているのか、日本ではここしばらく良くない事件がたくさん起こっています。今年はこれまで以上に気合の入った取り組みを切にお願いしたいところです。
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