医療 何でも相談
- 認知症が起こることはある程度防げるのでしょうか。 [2008/4/22]

Q:
79歳の母が最近軽いアルツハイマー・タイプの認知症と診断され、専門医から薬を処方されました。薬以外に一般生活においての注意点を教えてください。また、私たち自身に認知症が起こることはある程度防げるのでしょうか。
(50歳女性=主婦)
A:
まず、認知症がなるべく起こらないようにするためには、次のような点に注意しなければなりません。
●予防
*頭を使う―なるべく読書をしたり、クロスワードをしたり、パズルを解いてみたり、計算などは電卓を使わないでしてみたりすること。新しいことに挑んでみるのも大切です。
*体を使う―その人に合った運動で構いませんので、できれば毎日、少なくとも週に3回は30分から1時間程度運動をしてみてください。散歩でも構いません。目安は軽く汗ばみ、呼吸が多少はずむ程度の運動量です。
*人との接触―家で孤立してしまわないでなるべく人との交流を絶やさないように努力することも大切です。
*健康管理―高血圧、喫煙、糖尿病、高脂血症、それに睡眠無呼吸症などは危険因子なので、このような疾患はしっかりと治療しておかなければなりません。
*認知症予防に効果があると思われる下記のような食べ物、飲み物を摂取する。
・クロフサスグリ(Blackcurrant)、アボカド、魚、あるいはフィッシュ・オイル、オリーブ油、クミン、ターメリック、セージ(Sage)、チョコレート(ダークの方がいい)、葉酸(Folic Acid)、緑茶、ビタミンE
万が一近親者が認知症になってしまった場合は以下のことに注意して、本人および周りの人が病気とうまく付き合っていかなければなりません。
●日常生活においてできること
*なるべく規則正しい生活を保つ。強い刺激は避け、身の回りは慣れ親しんでいるものが近くにあるようにする。 *適度な刺激(運動やレクリエーション)を定期的に与える。
*食事、水分を十分に摂るようにする。
*大きな、目について読みやすい時計やカレンダーを分かりやすい位置に設置しておく。
*毎日の日課を分かりやすいようにメモしておいたり、安全についての注意点を書いて適切な場所に掲示しておく。
*身の回りの安全に注意を払う。風呂場やトイレに手すりを設けたり、廊下や階段に夜間照明をつけたり、ベッドの高さを低めにしたりする。
*なるべく独立した生活を長く続けるように心掛ける。ただし、友人や家族との接触は頻繁にあるようにし、孤立しないように気をつける。
*失禁が起こっているようならなるべく頻繁にトイレに行くように思い起こさせる。
*ケアに携わっている配偶者や家族のリリーフも必要なので、定期的にこのような患者さんを看るデー・ケアにも預けるようにする。
●法的なこと
まだ初期で遺言能力(Testamentary Capacity)のある間に、遺書や将来に関する指示をはっきりとさせておくことも大切です。
●運転に関して
アルツハイマー病においてはたとえ軽症でも運転はなんらかの危険を伴うはずです。診断が確定されたとしても必ずその時点で免許取消になるわけではありませんが、初期のうちで本人に自覚がある間に自発的に運転をあきらめてもらうことが理想的です。もし診断に疑いがあったり本人が非協力的な場合、実地テストでの査定を依頼しなければなりません。

鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・ファミリー・クリニック
メルボルン大学医学部卒。日本人在住者の多いシドニー北部ノースブリッジで一般開業医を始めて19年。穏やかな語り口が印象的な優しい先生として知られる
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