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    特別対談
     - 日本舞踊×ディジュリドゥ 予測不可能な日豪伝統芸能のコラボ  [2008/9/01]

特別対談

特別対談

日本舞踊×ディジュリドゥ
予測不可能な日豪伝統芸能のコラボ

ウィロビー市民「スプリング・フェスティバル」で実現

■プロフィル
(左)花柳琢次郎(はなやぎ・たくじろう):1964年、東京生まれ。日本舞踊界最大流派である花柳流の家元に生まれ、日本大学芸術学部在学中に三代目家元より花柳琢次郎を襲名。25歳で独立。舞台・テレビなどで振り付けなどを行う傍ら、舞踊稽古場「琢の会」で古典舞踊を教える。また、世界各国で日本舞踊公演を行い、これまでに米国、フランス、ベルギー、韓国など15カ国以上を歴訪。伝統を守りながらも、海外公演を積極的に行うなど常に新境地を開拓している。現在は「さほう舞踊」という独自の舞踊を研究中。
(右)ワラナリ・カーンタワラ:1961年、アリス・スプリングス生まれ。アボリジナル・アーティスト。学生時代よりアーティストとして活動し、絵画やペイント、ディジュリドゥ演奏などアボリジナル・アートの普及に務める。中央オーストラリア・アボリジニ・メディア協会会長としてアボリジニ初のラジオ・テレビ局を開設するなど多くの功績を残す。08年2月、ラッド首相が先住民への公式謝罪を行ったいわゆる「ソーリー・デー」での式典でもディジュリドゥを演奏した。


ウィロビー市は9月4日、同市恒例の市民イベント「スプリング・フェスティバル」の一環として、日本と豪州の文化交流を目的とした特別公演「やすらいの花−ドリーム・タイム−」を開催する。同公演は2部構成になっており、第1部が伝統舞踊と民謡の紹介、第2部が“やすらいの花”創作舞踊および歌唱披露となっている。メインの演目となる第2部の出演者は、日本舞踊界の雄・花柳流の花柳琢次郎氏と画家でディジュリドゥ奏者のワラナリ・カーンタワラ氏、歌手の藤みち子氏。本紙はウィロビー市の協力を得て、打ち合わせで来豪した花柳氏とカーンタワラ氏の対談を敢行。豪州の伝統楽器ディジュリドゥの音楽に合わせて、日本舞踊を舞うという全く予測不可能な伝統芸能のコラボについて話を聞いた。

――花柳氏とカーンタワラ氏の初競演ということですが、お互いの印象は?

花柳氏(以下、花柳) 今日、お会いして、本当に力の抜けたというか淀みのない人だなと感じました。初めて会ったのに、「懐かしい」という感じなんですよ。

カーンタワラ氏(以下、カーン)(花柳氏は)とても「アーティスト」として感じるところがありますね。今日お会いした瞬間に、ピタッと通じ合うなということを感じました。花柳先生はアーティストなんだなと。

特別対談
「カーンタワラ氏は、まるで達観したお坊さんのよう」と花柳氏
花柳 そうですね。私はカーンタワラさんにお会いして5秒で、今回の演目のテーマが浮かんできたんですよ。テーマは「A Tree is Standing on the ground」。1本の木が赤枯れた大地に根を生やして、雨や風などを受けながら立ち続けているイメージなんです。その後で、カーンタワラさんから、アボリジニの精神性について語られる「ドリーム・タイム」という話を聞きまして、それは、過去から始まって未来へとつながっていく川のような時の流れに、ただ、身を置き、粛々と生きるという話だったのですが、これが、私が描いていたタイトルのイメージとピタリとはまったんですね。これはもう奇跡としか言いようがないですね。

カーン そういう意味でも、お互い日豪交流の親善大使になったつもりで今回の企画に関わっていけることが嬉しいですね。花柳先生は日本を代表し、私はアボリジニを代表して演目を行う。だから、(今回のコーディネーターである)恵子さんから依頼がきた時には、とんとん拍子で話が進んだんですね。これは「出会い」ですよね。

――今回は、カーンタワラ氏のディジュリドゥの即興演奏に合わせて、花柳氏が即興で日本舞踊を舞うという、とても斬新な試みとのことですが、一体どのようなパフォーマンスになるのでしょうか?

花柳 明日(取材時の翌日)、早速リハーサルを行うんですが、僕も全く想像がつきませんね。どういう風に始まって、どういう風に終わるのかも分かりません。先ほど浮かんだタイトルをもとに、お互いが感じ取ったインスピレーションだけで演じましょうということだけを話し合いましたね。だから、本番では着物を着ないかもしれないです。顔にアボリジニのようなペイントをして演じるかもしれません。こんなことを言うと、日本舞踊界のお偉い方からお叱りを受けるかもしれませんが(笑)。

特別対談
「日本人の方にアボリジニの文化を伝えたい」とカーンタワラ氏
カーン 私もどういう演奏になるかは分からないんです。私は絵も描きますが、白いキャンバスに絵を描いていくのと同じように、花柳先生が踊るのを見ながら演奏をしていくということがベストで、自然なことだと思います。だからリハーサルと本番は違うものになるでしょうね。ディジュリドゥには、クラシック音楽のような規則はありませんから。本番は、内なるものからあふれ出る2人のエネルギーの一致が生み出すパフォーマンスになりそうですね。

花柳 まさにその通りですよ。日本の伝統文化や伝統芸能と言われるものは、伝統を「守る」ことで確立してきましたが、アボリジニの伝統文化というのは、守るというものではなく、ただ、それを自分の身にすっと置いているだけで、それを何の気負いもなく受け継いできたという点に感銘を受けました。だから、私は表現者の1人として、カーンタワラさんが奏でる音やあのバイブレーションから感じるままの心理や感情を表現してみようと思っています。日本舞踊というのはそもそも、心理描写だったり形態模写だったりするのが始まりですからね。

――では、このコラボレーションにおける見所を教えてください。

カーン 私の(アーティストとしての)役目は、私(アボリジニの人)たちと、アボリジニ以外の人たちとの橋渡しをしていくことだと考えています。アボリジニの間では、「人々が集まり、1つになる」ということが大切とされています。また、私たちの文化を共有し、世界に広めていくことも大切で、今回のように日本の伝統芸能と私たちアボリジニが持つ歴史のある精神性が融合することで、きっと日本人(の観衆)の心にもアボリジニの文化や精神性を感じてもらえることと思います。

花柳 カーンタワラ氏との競演はこれまで話した通り、楽しみなのですが、もうひとつ意義深いことも行うんですよ。『やすらいの花』という曲の披露なんですが、私が昨年、作詞・作曲し、踊りを付けました。この曲は「亡くなった方をいつまでも想い、忘れない」という気持ちを表現した曲で、タイトルは「あなたにいつまでも安らかできれいな花を捧げましょう」という意味です。アボリジニの方はやはり悠久の昔から長い歴史を生きてこられたDNAの持ち主ですし、私は今後、いろいろな形で「やすらいの花」プロジェクトを起こしていきたいと考えています。今回、アボリジニの方に英語でこの曲を唄っていただくのですが、そういう意味でも、このイベントはとても意義深いことだと思います。


特別対談
藤みち子氏はプロの歌手で花柳氏の妻

やすらいの花−ドリーム・タイム−
第1部: 伝統舞踊と民謡の紹介
第2部: 花柳氏、カーンタワラ氏による演目。そのほか、カーンタワラ氏による独奏、藤みち子氏による『やすらいの花』歌唱(英語での歌唱もあり)

日時:9月4日 7PM〜9PM
会場:ゼニス・シアター(Zenith Theatre)
住所:Cnr. Railway & McIntosh Sts., Chatswood
料金: 一般$25、学生証保持者$15
電話予約Tel :(02)9958-8034 / 0416-174-144
      (フーブニック恵子さん)
直接購入先:ウィロビー市役所4階カスタマー・サービス
・カウンター(現金のみ受付)


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公演で舞う花柳氏(写真は2005年の東京公演のもの)

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イベントを観る前に読む!
東京都杉並区とウィロビー市のHOTな関係

 東京都杉並区とウィロビー市は06年、姉妹都市提携15周年(日豪交流30年)を迎えた。これまでに文化交流や交換留学生などをはじめとするさまざまな交流を深めてきた両都市は同年、姉妹都市提携15周年を記念してウィロビー市で大規模な日豪交流イベントを行い、杉並舞踊協会を含む使節団約100人が来豪して日本舞踊を披露した。
 今回のイベントは当時、使節団の一員として来豪していた花柳氏の好意と、ウィロビー市役所グローバル・フレンドシップ委員会のフーブニック恵子さんのバックアップにより、実現した。

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