福島先生の教育指導
- 再生 [2008/3/15]
福島先生の教育指導
再生
教育専門家:福島 摂子
大阪府出身。22年間、教育に携わり、教育カウンセリング・海外帰国子女指導を主に手がける。1992年に来豪。シドニーに私塾『福島塾』を開き、社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命として、幼児から大学生までの指導を行う。2005年10月より拠点を日本へ移し、日々活動の幅を広げていく一方で、オーストラリア在住者に対する情報提供やカウンセリング指導も継続中である
何か大切なものを失った時、日ごと朝を迎えるたびに、ああ夢ではなかったのだと現実を突き付けられます。取り返しのつかないこと。努力をしても、もうどうにもならないこと。生きている間に幾度かそういう場面に遭遇することは、誰にも避けられないのかもしれません。底知れぬ心の闇。途方のない悲しみや絶望の最中にいる時には、どんなに自分を励ましてみても簡単には立ち直れません。自分の命ほど大切なものを失った時の喪失感は、何かほかのもので埋めようとしても無理なことです。
心に負った深い傷が癒えるのには相当の時間がかかります。眠れぬ夜はまるで永遠に続くかのようです。しかし、悲しみの中に暮らし、込み上げてくる感情を1つ1つきちんと受け止めていくと、不思議なことに、癒しのホルモンが働き、密かにしかし着実に再生への力が蓄えられていきます。悲しむ一方で、それでも私は生きていかなければならないという思いが沸いてきます。
失ったものがどれほど素晴らしくかけがえのないものであったとしても、残念ながら自分ではどうしようもないこともあります。どんなに悔やんでも悲しんでも、取り戻すことはできません。そういう時、未練は断ち切るしかないのです。未練は私たちを過去へ過去へと引き込みますが、後悔や未練を引きずる限り、過去にも戻れず、未来へも進めず、いつまでも苦しみ続けなければなりません。ですから、泣くだけ泣いたら、潔く未練を断ち、今を見つめる努力をしましょう。
再生への鍵は、失われたものへの謝念です。記憶の中に、思い出の中に、ありがたいと思えることが数え切れぬほどあるはずです。あんなに優しくしてもらった、あんな素敵なことがあった、こんな世界を知ることができた・・・。心が少しずつ整理され、謝念の占める割合が増えてくればもう大丈夫です。たとえ時間がかかっても、心は必ず再生できます。今この一瞬の喜びを見落とさず、自分の命に感謝することができるようになった時、自分にとって、失われずに残されているものがいかに価値のあるものであるかに気付けた時、新生した自分を発見することができるでしょう。
悲しみの後に残されたものは「今」だけですが、喜びも希望も、今だからこそ抱けるものです。これからも、生きていればいろいろなことが起こるでしょう。しかし、その中で尊い体験をしていく自分を大切にしてほしいと思います。どんなことがあろうとも、いつの日か必ず立ち直れる日が来ます。例外はありません。再生は、自然の摂理なのです。
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