法律相談室
- 第1回 新規ビジネスの設立 [2008/7/07]

デュー里香
ハートネット法律事務所
QLD州弁護士 MARN 0425896
第1回 新規ビジネスの設立
質問:オーストラリアで新規ビジネスを立ち上げようと考えているのですが、法的にはどういう点に気を付けなければならないでしょうか ?
既存ビジネスの買収、新規ビジネスの設立、どちらの場合においても事前に適切な法的アドバイスを受けることが、ビジネスをスムーズに運営していく上でたいへん重要です。ビジネスの設立をお考えの際は、特に下記に挙げる項目について、事前に検討することをお薦めします。
1.事業構造
どのような構造でビジネスを運営するかにより、税法上・資産保護上に大きな影響が出てきます。例えば、ご自分の個人名で事業を運営・展開される場合、ほかの個人資産(例えばご自宅)なども、事業債務・負債の対象となります。事業規模にかかわらず、会社法人またはトラスト(信託保管組織)を設立し、事業展開することをお薦めします。
また、友人や家族、ビジネス・パートナーと一緒に事業を展開する場合、各参画者間の合意事項を適切に文書化することをお薦めします。この書類は、参画者間に何らかの問題や抗争が発生した際、たいへん重要な効力を発揮することになります。
事業構造を検討するにあたり、事業の中長期的な目標も加味する必要があります。異なる事業構造により、税法上のメリット・デメリットも異なります。
2.事務所・店舗
どこで事業を展開するかも加味すべき重要な項目です。通常、商業用事務所や店舗で事業運営する場合、地主とリース(賃貸)契約を取り交わす必要があります。事業の種類や内容、場所により、そのリース契約がリーテール・ショップ・リース法(小売店舗賃貸法)の対象となる場合があります。その際は、法的・財務的な情報開示が義務付けられることとなり、通常の商業用リースに比べ、追加の要求事項が課されることとなります。
また、住宅地において事業を運営される場合は、市・州政府の要請事項を満たす必要があります。
3.ライセンス(許可書)・事業登録
事業の種類や内容によって、市・州・連邦政府により発行されるライセンス(許可書)を取得する必要があります。
例えば、レストランを展開するにあたっては、食品・サービス提供者として市政府に事業登録する必要があり、そのレストランで酒類を販売・提供する場合は、州政府から許可書を受理する必要があります。また、事前に録音されている音楽をそのレストランで流す場合、連邦政府に許可申請する必要が出てきます。
これらの適切な許可・登録なく事業を運営した場合、罰金などが科せられ、事業成果に大きな影響を及ぼすことになります。
4.トレードマーク(商標)と知的財産
事業資産の中で最も重要な資産は、その知的財産だと言われます。事業名に関していくつか加味すべき要請事項があります。特に下記に挙げる項目の保護について、十分検討することをお薦めします。
・ 事業名
・ 特殊製品・サービス名
・ 貴社または貴社の従業員により開発されたデザイン・アイデア・手法
5.税法上の課題
事業を運営するにあたり、州・連邦政府から課せられる税金上の課題を検討する必要があります。従業員の雇用・商品サービスの提供・事業売り上げなどすべてに、給与・GST・純資本益に関する税金が発生します。これらに関し、専門家による適切なアドバイスを受けることをお薦めします。
6.フランチャイズ
フランチャイズを購入する事業主が増加しているようです。フランチャイズを購入するにあたり、購入側(フランチャイジー)・提供側(フランチャイゾー)双方に、厳しい情報開示義務が課せられます。事前に、弁護士・会計士の適切なアドバイスを受けることをお薦めします。
7.既存事業の買収
既に設立されている事業の買収をお考えの場合も、上記に挙げた項目の大部分が適用されます。追加項目として、下記2点をデュウデリジェンス(事前調査)することをお薦めします。
・ 何を買収しようとしているのか
・ 売り手側から提供された情報の信憑性
※ここに記載する内容は、一般的な案内であり、法的アドバイス・法律の詳細な解説ではありません。既存・新規の事業の買収・設立をお考えの場合、まずは潜在的な問題・課題をすべて弁護士に相談することをお薦めします。
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