MBA LAWYERS
- オフザプランでのユニット購入〜パート1&2 [2008/7/25]

OFF THE PLAN
オフザプランでのユニット購入について
『 オフザプラン 』 とは、完成前の物件を意味します。
<はじめに>
オーストラリアでは殆どのユニット(日本でいうマンション)が、まずディベロッパー(開発業者)によってオフザプランで販売されます。大きなキャピタルゲイン(資本利益)を見込んで、建築工事が始まる前にユニットをオフザプランで購入することに、多くの人が魅了されます。つまり購入者は、ユニットを現在の価格で購入・確保しておいて、数年後の物件が完成する時期に購入金を支払う予定にしているわけです(その頃には市場価格が高騰していると想定すると、物件をそれよりも安値で買えたことになります)。
しかし、オフザプランのユニット購入には、時として“危険な落とし穴”が潜んでいることがあります。物件売買の経験が浅い購入者にはもちろんのこと、比較的経験が豊かな人にとってもこの魅力的であるはずのキャピタルゲインが、苦い経験へと一転してしまう可能性がありますので、このような“危険な落とし穴”にはまらぬよう、自分の身を守る必要があるでしょう。
これらの問題の大半は、契約書にサインをする前にディベロッパーと交渉することが可能です。この時期のディベロッパーはユニットを売ることに熱心ですので、交渉に快く応じてくれます。しかし一旦契約書に署名されると、ディベロッパーは購入者に対して契約条件に徹底して従うよう求め、いかなる条件に関しても大目に見てくれるということがありません。様々な理由から、ディベロッパーが購入者との交渉に応じない事項がいくつかあります。ここでは、そのような状況について簡単に説明致します。購入者の皆さんは、これらの事情を理解した上で、物件購入の決断を下してください。
<契約書およびその他の書類について>
オフザプランのユニット売買には基準となる売買契約書というものがありません。既成住宅やユニットの売買には、通常法律協会や不動産協会によって標準化・認定された契約書が使用されるのですが、オフザプランの場合、各ディベロッパーが独自に作成した契約書が使用されます。
またディベロッパーは、開発プロジェクトに関する様々な情報を購入者に提示することが義務付けられていますので、契約書の他に、Disclosure Statement(開示書)というかなり分厚い書類も送られます。購入者はこの書類によく目を通して下さい。物件の詳細情報を提供して貰えるという利点を大いに活用し、契約書にサインする前に関連書類もよく読んで下さい。
以上のような契約書の特性から、オフザプランでユニットを購入する際、購入者は弁護士に相談し、状況に応じた適切なアドバイスを受ける必要があります。
<決済日が未定の場合について>
決済日は、建設工事終了日・地元公共事業機関による最終承認日・完成した複合住宅が登記所(タイトル・オフィス)に登録された日や、各ユニットの権限の作成日によって変わります。ディベロッパーはこれらの手続きが終わるとすぐに(例えば権原の登録日から14日目等)、決済を行うように要請します。しかし殆どの場合、この決済日までの期限が十分ではないため、購入者はディベロッパーに期間の延長を申し出なければなりません。期間の延長が認められたとしても、購入者は罰則として、金利15%〜20%という非常に高いペナルティー・レートを支払うことになります。購入者に、物件購入に関する詳しい知識があれば、契約前の交渉時に、決済日を権限登録日から30日目以降にしてもらうようディベロッパーに依頼することができるでしょう。ディベロッパーも物件を販売することが目的ですので、通常こういった購入者の申し出を受け入れてくれます。特に購入者が海外(例:日本)在住の場合、海外送金に時間がかかることもあります。例えば、オーストラリアと日本の祝祭日の関係から、送金に1〜2週間程度かかってしまうこともありますので、こういったことも考慮して、決済日を権限登録日から最低でも30日目以降にしてもらう必要があるでしょう。
決済日(Completion Date)と建築工事終了日は関連しています。物件の完成が様々な理由で遅れることも考えられますので、決済後すぐに新しい物件に転居しようと考えている購入者にとって、これは重要な注意事項となるでしょう。
またそれとは逆に、建築工事が予定より早く終了した場合、購入者はそれを理由に決済日の延長を申し込むことが出来ませんので、自分が予測していたよりも早く決済日が設定された場合、資金の調達が間に合わないなどという事態が発生することも考えられます。
オフザプランの物件売買では、工事の進行に合わせて決済日も変化しますので、購入者は常に建築工事の進捗状況や完成日を確認しておく必要があるでしょう。購入者の弁護士が、物件の権限が正式に登記された日を連絡してくれますが、やはりそれだけに頼ることなく、日々新しい情報を入手するよう心がけることが大切です。特に買気ある市場では、弁護士がディベロッパーから権限登録日の報告を受けても、すぐに購入者に通知が届かないこともあり、この間ただ待っているのは大変な時間の無駄だと言えます。なぜなら、購入者がこの期間に決済に必要な手続きまたは手配を行うことができるかも知れないからです。このような無駄な時間を省くため、購入者は物件購入に必要な手続きを理解し、建築工事の現況を常に把握しておく必要があります。
オフザプランの物件売買では、決済日が変更しないという確信はありません。オーストラリア国内でもQLD州外から、または海外から物件を購入される方は、以上のような難しさを十分理解し、事前にそういった問題に備えておくべきでしょう。
<建築工事開始日について>
ディベロッパーによっては、建設予定プロジェクトで一定以上の戸数が販売されるという確約を取り、法的に拘束力がある契約書を手に入れるまでは、実際にプロジェクトに着手しないということもありますので、建設工事が本当に開始されるかの確実な保証はありません。従って購入者は、ディベロッパーが十分な契約数を得て、プロジェクトの実施を決断できるにいたるまで、間まちぼうけを食わされることのないよう、自己防衛をする必要があります。このような問題は、売買契約書に “定められた期日までに建築工事が開始され、その後中断することなく工事が進んだ場合にのみ、購入者のユニットと購入の申し込みが成立すること”といった内容の項目を付け加えることで、解決できます。
このような手を打たない限り、契約書にサインをしてから6ヶ月ほど後に、ディベロッパーからプロジェクト中止の旨を告げられ、結果として同じようなユニットを購入するにも、市場価値の高騰により当時より$50,000.00程高い金額で購入せざるを得ないことにもなりかねません。
またディベロッパーの過去の業績を調べるのもいい考えでしょう。その会社が、過去に多くのプロジェクトに携わったかどうか調査するのです。豊かな過去の業績を持つディベロッパーの物件を購入する方が、経験のない会社から購入するよりもはるかに安全でしょう。
<ディベロッパーの契約を解除する権利について>
オフザプランの契約書の多くに、ディベロッパーが単にプロジェクトの実施を希望しないという理由だけで、契約を解除してもよいといった内容の項目が含まれています。これは購入者にとって公平な項目ではありませんので、取り除いてもらうよう依頼するべきです。前述の通り、このような契約内容をディベロッパーが行使し、例えば契約が結ばれてから9ヶ月後に契約を解除した場合、購入者は同様のユニットを購入するにしても、既にタイミングを逃してしまっているという可能性があるのです。
<口頭での取り決めについて>
オフザプランのユニット売買契約に関して、ディベロッパーと口頭による取り決めを行っても、それらには何ら法的な拘束力がないので注意して下さい。ですので、例えばディベロッパーとショールームのカーペットよりも上質のものを使用することで合意した場合、必ずその約束を契約書に付け加えるよう依頼して下さい。契約に条項を付け加えることによって、法的効力を得ることができるのです。
<ユニットおよび付属品の標準について>
これは実際的な問題ですので、購入者は十分に理解している必要があるでしょう。完成したユニットや複合住宅全体の品質は、実際に建築工事が終了するまで分からないものですし、購入者が期待していた品質よりも、劣るものかも知れません。オフザプランのユニットを購入する際、こういった問題について購入者は十分理解していなければなりません。建物全体やユニットの内装の基準に関する情報が、できるだけ多く売買契約書に記述されているべきでしょう。しかし残念ながら、ディベロッパーには非常に細かい詳細を契約書に明記するだけの余裕がありませんし、また彼らとして、は建物が完成するまでできるだけ柔軟な対応が取れるようにしたいため、あまり詳細を事前に決めてしまいたくありません。
ディベロッパーが過去に幾つものプロジェクトに携わっており、また契約書に購入者の立場を守るための項目が付け加えられると、購入者も安心感を得ることができます。契約書には、“購入者は、同じディベロッパーが過去に携わったプロジェクトの、ユニットや付属品の品質と同等、もしくはそれ以上のものが保証されるものとする。”などという項目を追加すればよいでしょう。
しかしこのようなことが常に可能なわけではありません。例えば、ディベロッパーにとってこのプロジェクトが初めてのものである場合や、たとえ過去に多くのプロジェクトに携わっていたとしても、今回のプロジェクトが今までのものとは違う市場をターゲットとしている場合、“過去のケースの品質と同様のもしくはそれ以上の・・・”などといった項目は追加できません。
その代わり、完全とまでは行きませんが多少の安心感を得るための方法として、次のような項目を契約書に追加することが出来ます。“完成後の物件や付属品の質は、ショールームで展示されていたものと同等かそれ以上のものとする。” などという項目を追加し、その際にはパンフレットや設計図等のコピーといった資料・情報を、ショールームの販売担当者から入手しておく必要があります。このような物件や付属品の品質に関する問題は、物件が完成するまで分かりませんが、物件が完成した時にはショールームが既に取り壊されている可能性がありますし、ディスプレイユニットを見学した将来の購入希望者達から寄せられた意見感想に応じて、建築工事中に調度品や付属品の品質が変わって行く可能性もありますので、できる限りの範囲で必要な資料や情報を取り寄せておくことが賢明でしょう。
上に挙げた全ての対策例は、あくまでも“二重の安全対策”といったところであり、ユニットや建物全体の質が、工事が終了するまで分からないといった事実を、変えられるわけではありません。建築法(Building Laws)や地元の公共機関によって定められた建築規約(Building Code)がありますので、ディベロッパーは、一定以上の標準を保って建物を建築しなければならないのでしょうが、それでも“5つ星”のはずの完成物件が、“3つ星”になってしまうという可能性もありますし、またそれも実際に物件が完成するまでは分からないかも知れません。
また調度品や付属品の質に関して問題が生じたとしても、殆どのオフザプランの契約書では、売却者には決済を遅らせたり、問題が解決するまで決済金の中から幾らかお金を抑えておくといった権利がないということについても、十分に理解しておいて下さい。ディベロッパーが、決済からある一定期間(例: 3か月)以内であれば、購入者が書面で通知した欠陥個所を、修理・修復することに同意するのがせいぜいといったところでしょう。ただし、このような修理・修復作業が必ず完全に行われるという保証はありませんので、その場合はBuilding Registration Authorityという機関に不服申し立てを行うという権利があるということを覚えておいて下さい。
<決済時のユニットの状態について>
また決済の時点で、ユニットがすぐに使えるまたは居住できる状態になっている保証や、建物自体やその設備が、居住者によってただちに使用できる状態になっているという保証はありません。決済から何週間も経って、ようやく工事関係者が建物から撤退し、プロによる清掃が終了したというような例を私は過去に見てきました。従って決済が終ってからも、物件全体にゴミや工事の残骸が沢山残っているということもあります。評判の高いディベロッパーですと、決済時にプロによるユニットの清掃が終了しており・居住者が直に生活を始められる状態で・また建物の施設も居住者によってすぐに使用できる状態になっていること、といった内容の項目を契約書に入れてくれます。このような項目が契約書に入っていないと、予定通りに決済は行われても、しばらくの間家賃収入をあてにできないという事態に陥ることも考えられます。
<デポジット・ボンド(保証金)について>
オフザプランでユニットを購入する場合、手付金は通常購入価格の10%となります。いったん購入者が手付金を支払うと、不動産業者の信託口座(Trust Account)に預けられますが、(決済までの)数ヶ月もしかすると数年の間、名ばかりの利息しか付きません。ですので、この手付金がデポジット・ボンドと呼ばれるものか、それともパワーボンドと呼ばれるものかを確認する必要があるでしょう。パワー・ボンドというのは、バンク・ギャランティー(銀行保証)と呼ばれることもありますが、保証金が現金で支払われる代わりに使用されます。バンク・ギャランティーは多くの金融機関で取り扱われており、現金で保証金を支払うよりもより賢明かも知れません。
<パーソナル・ギャランティー(個人保証)について>
ユニットの購入者が会社やスーパー・アニュエーション(退職年金)関連のファンド会社である場合、全てのディベロッパーは、契約が会社または団体の代表取締役や株主によって、個人保証されるように要求します。それによってディベロッパーは、物件の購入にむけて関係者に最大のプレッシャーをかけることができますので、実際決済に導くことができるようにします。これは、購入者がマーケットが下降気味の時に、10%のデポジットのみを没収されるだけで購入を取りやめるということをできにくくするためのものです。
<段階的な開発工事について>
多くの場合、ディベロッパーは建物を幾つかの段階に分けて建設します。全ての建築工程が終了するまでにユニットが完売するか自信がない場合は特に、このような手段が取られます。こういった場合、仮に4段階ある建築工程のうち2段階までしか終了していなければ、購入者としてはユニットの購入に向けて、実際に手続きが進められるのか心配になるでしょう。一部のみ完成した建物のユニットを購入した場合、それを売却しようとしても、売却が困難であることは明らかだと言えるでしょう。従って、購入者はディベロッパーに問い合わせをし、適切な項目を売買契約書に入れてもらうようにするべきでしょう。そして、決済日までに全ての建設工事が終了しているよう確約を取って下さい。これができていなければ、将来ユニットを売却しようとしても、なかなか購入者が見つからなくなってしまいます。
<家具付きのユニットについて>
家具付きのユニットを購入する場合、ディベロッパーの中にはマーケティング会社と提携して物件を販売している業者もあり、またそのマーケティング会社がディベロッパーに対し、彼らが選んだ家具とセットで、ユニットを販売するように話を持ちかける場合があるということを理解しておいて下さい。このように、ユニットとセットで販売される家具の多くはとても高く、それに比べ質が非常に低い場合があります(それでマーケティング会社は、家具屋を紹介したことに対するコミッションを受け取れるという仕組みです)。投資物件としてユニットを購入した場合、ユニットに宿泊したゲストから、家具の質の悪さに対する苦情を受けることもあり、その結果、あなた自身が自費で家具の修理を行ったり、ひどい場合には家具を買い直したりしなければならなくなります。従って、家具とセットで販売されているユニットを、投資物件として購入する場合は、それらがある程度の水準を満たしているということを、確認してください。いくらディベロッパーの販売担当者に、“家具屋と交渉して、とてもいい価格で家具を取り引きすることができた”などと言われても、そのまま鵜呑みにしてしまうのは軽率かと思われます。それらの家具は、全ユニットに取り付けられるために大量購入されたものかも知れません。
<家賃保証 (Rental Guarantees)について>
新しくできた物件の多くの場合、ディベロッパーは家賃保証を提示することで、購入者を獲得しようとします。この場合、いくらの家賃が保証されているのか確認して下さい。家賃収入を、ローンの返済に充てることになるかも知れませんので、保証されている家賃の値段が、市場価格から考えて現実的なものか否かを確認する必要があるでしょう。また保証期間が切れる時は、新しい入居者を探す必要があります。この家賃保証の金額が不自然なほど高い場合、あとで驚くような事態に遭遇することになりかねませんので、十分注意して下さい。
<製造業者や職人に関する計画および詳細について>
建物が完成してから1−2年も経てば、物件の建設工事を担当していた物品の供給業者や、職人の連絡先等が分からなくなることがあります。ですので、計画書や製造業者の保証書のコピーや、ユニットの建設工事に携わった職人全ての詳細(電話番号等を含む)を、ディベロッパーからもらっておく必要があるでしょう。
<区画権利(ロット・エンタイトルメント / Lot Entitlement)について>
区画権利(これは集合住宅を運営していく上で必要となる費用を、それぞれの居住者がどれだけ負担する必要があるのかということを、割り出す際に基準となります)についても、それが正当かつ公平なものかを確認する必要があります。区画権利の割合が高かったり・不相応な場合、あなたのユニットが負担しなければならない管理組合徴税金を計算する時もこの区画権利を基本に計算されることになりますので、将来物件を売却する際に、購入希望者がこの区画権利の高さを理由に、購入をためらってしまう可能性があるでしょう。こういったことから、単に他のユニットの負担を減らしたいという理由から (例: ディベロッパーが集合住宅内に何件かのユニットを所有している場合に、自社の負担を減らそうとして)、あなたのユニットの区画権利が必要以上に負担を増やされていないか、確認する必要があるでしょう。
<セキュリティーについて>
近年セキュリティーに関する懸念が増加しています。そのため、複合住宅内や駐車場にアクセスする際に、暗証番号を入力しなければならないようなセキュリティ設備が付いているか、事前に確認されておくことも大切だと思います。ユニットを投資物件として購入したのならば、物件にセキュリティー設備が付いていなければ、最近はテナントの要求も高まっていますのでユニットを賃貸に出しても、なかなか入居希望者が出てこないかも知れません。
<GST(物品およびサービス税)について>
オフザプランでユニットを購入する場合、GST法においてユニットは“新居住物件”として取り扱われ、売却価格に課せられたGSTは、ディベロッパーによって支払われます。従って契約事項に、購入者にGSTの支払い責任があると書かれていないか確認して下さい。契約書に売却価格はGST込みであるといった記述がされていない限り、一般消費者として売却者がGSTを支払わなければならないということはありません。GST登録をしていない限り、通常は消費者が物件売却に課せられたGSTの返還請求をすることはできません。
しかしディベロッパーは、“マージン制度”を実行することにより、支払わなければならないGSTを減額することができます。これによって、殆どのケースではGSTをゼロまたはゼロに近い額まで減額することが可能になります。購入者であるあなたが、GSTを支払わなければならず、またディベロッパーがマージン制度を適用する場合(あなたがGST登録者であったとしても)、ディベロッパーが支払ったGSTに対して、税金の返還を請求することができませんので、あなたにとって不利となる可能性があります。
<融資の承認について>
オフザプランのユニットを購入する場合、ユニットが完成する前に、融資に関する最終承認が金融機関から下りることは難しいかも知れません。従って、ユニット完成までに金融機関から受ける承認とは単に、“承認を暗示するもの”であったり、“原則として融資を認める”といった内容のものであり、これはユニット完成時の査定を条件としています。またユニットの価値が購入価格より低いと判断された場合(例: 契約書にサインをした日から、決済までの期間に、市場価格が下落した場合など)、金融機関からの貸し付け金額は低くなりますので、不足金額を補うため早急に準備しなければなりません。こういった問題には十分注意して下さい。
<ディベロッパーからの払い戻しについて>
オフザプランによるユニット購入で、決済後にいくらかのお金を払い戻すとディベロッパーから言われた場合、まず購入価格が必要以上に高く設定されている可能性があるということを、理解して下さい。単に、ディベロッパーが自分達の理由で、購入価格を高く設定していただけにも関らず、決済日にいくらかのお金を払い戻してもらったために、購入者のあなたは実際の購入価格を誤って理解してしまう結果になる可能性があります。また、ディベロッパーまたはマーケターが、購入に際して前金を吊り上げようとする場合があります。これは、彼らが金融機関を欺こうとしているという可能性もあり、こういった行為は刑事事件となることもありますので、決して関与しないようにして下さい。
<倉庫および駐車場>
倉庫や駐車場が割り当てられることになっている場合、それらがあなたの購入するユニットの権限の一部に含まれている、または複合住宅の定款内で、それらがあなたの専用のものであると指定されているか、契約書を確認して下さい。倉庫や駐車場があなたの所有でなかったり、あなたの専用のものでない場合、物件の価値を落とすことになります。
<ディベロッパーの委任状(Power of AttorneyおよびProxy)について>
決済から最長1年の間、定款・複合住宅内の通路の地役権(Easements)・その他駐車場や住み込みの管理人との賃貸契約書に関する問題などを、全て適切な形で用意するために、ディベロッパーが建物の管理組合(Body Corporate)の投票権をコントロールしていることがありますが、これは正当な理由によるものだと言えるでしょう。従ってこの期間は、ユニットの所有者でありながら、あなたには管理組合での投票権がありませんので、留意して下さい。ユニットが完売したため、ディベロッパーは早く次の事業に専念したかったゆえのことですが、この問題に関してはあまりリスクが高いとは思えませんので、購入者の皆さんが必要以上に心配されることはないと思います。
<オフザプラン・ユニットの販売について>
ユニットをオフザプランで購入する人の多くは、できるだけ早くキャピタルゲインを手に入れるために、物件完成前にユニットを売却することを考えています。オフザプランのユニットを購入するために契約を結ぶということは、あなたに決済手続きを終了する義務があるということを理解して下さい。つまり、たとえあなたが(新しい購入者と)売却契約を結んだとしても、その購入者が契約を履行できなかった場合、あなたに決済を終了する義務があるということです。
また世間では、以上のような売却契約を結んだ場合、通常であれば最初の購入者が支払うべき印紙税(Stamp Duty)を、支払わなくてもよいなどといった情報が流れているようですが、これは正しい情報ではありません。物件が完成するまでに、オフザプランのユニットが何度か売却された場合、政府当局はその度に印紙税を徴収します。ですので、政府関連機関にしてみれば、オフザプラン・ユニットの販売は思わぬ収入源といったところでしょう。こういった形の売買契約は非常に複雑であり、最初の購入者、つまり第2の購入者に対する売却者は、ディベロッパーを代理人として任命している委任状などを、2番目の購入者に引き継ぐ必要があります。こういった手続きは、物件売買手続きを専門とする弁護士に、複雑な特別条項(Special Conditions)を用意して貰い、第1の購入者に課せられた、ディベロッパーに対する義務が全て、第2の購入者に引き継がれているよう確認して下さい。
<支払い費用について>
ディベロッパーが、ユニットの所有者が支払わなければならない全ての費用(管理組合徴税および市税など)が、早く他者に引き渡されることを望むのは、想像に難くないでしょう。そしてオーストラリアの各州の法律で認められているのであれば、ユニットの権限が登録された日(通常は、決済日の数週間前です)に、ディベロッパーはこれらの支払い責任を購入者に引き渡すでしょう。またそれと同様に、未払いの土地税があれば、ディベロッパーは購入者に負担するようによう要求するでしょう。これは妥当な要求と言えるでしょうし、また殆どの建売物件売却の契約書で一般的なものとされていますが、殆どのディベロッパーがあと1歩踏み込んで、“決済日までにLand Tax Clearance(土地税の支払い状況等が確認できる書類)が入手できなかった場合、土地税用のお金または税務局に支払うお金を、最終的にディベロッパーが立て替えるということはない”といった内容の項目を付け加えているようです。またはその代わりに、ディベロッパーが作成する契約書に、“土地税の支払い状況が確認できた時点で、ディベロッパーが負担すべき土地税額を、購入者が負担することに同意する”という項目が、入っていることがよくあります。しかしこれは、購入者側にとって好ましい条件ではありませんので、“Land Tax Clearanceを受け取るためには、未払いの税金を支払わなければならないとの指示を税務局から受けた場合は、これらのお金は決済日(またはそれ以前)に、物件の売却金の中から支払われるべきである”という条項(これはごく一般的な条項で、頻繁に使用されています)と差し替えるべきでしょう。そうしなければ、土地税が未払いのままで、またディベロッパーがそれを支払わない場合は、法律によると支払い責任はその物件に付いてきますので、結果的には新しい物件の所有者であるあなたが、未払いの土地税を支払わなければならなくなります。
< 最後に >
ここでは、購入者の方々の希望がほぼ望み通りかなえられた、理想の契約書の形についてお話し致しました。実際には、これらの条項が完璧な形で組み込まれていることはあり得ないでしょうが、これはまた事実として受け入れて下さい。ただこれらの項目ができるだけ多く取り入れて貰えるよう、ディベロッパーと交渉するべきだと考えます。ディベロッパーと条件を交渉した後は、実際に物件購入手続きを進めることが利益となるのか否か、あなた自身が決断を下して下さい。これまでにオフザプランのユニットを購入することにより、多くの利益を上げた人も多くいますので、臆病になることなく、ただ以上の注意事項を守って、スマートに物件を購入して下さい。

井関 誠二(法学士・文学士)
2000年 に、クィーンズランド大学法学部より法学士号を授与される。
2001年3月より、マクドナルド・バランダ&アソシエイツ法律事務所で、弁護士研修生として勤務。
2001年に、クィーンズランド州高等裁判所より正式に弁護士として認定される。
また法学士と同時に、グリフィス大学文学部にて、アジア研究学科(韓国語・国際政治専攻)の学士号をHonoursで終了。
現在も引き続き、同法律事務所で活躍中。法律の専門分野では、訴訟問題・雇用問題を始め、ビジネス法・国際法などに興味を広げ、幅広い分野で活動。
マクドナルド・バランダ&アソシエイツ法律事務所 (MBA法律事務所)
担当弁護士: 井関誠二
事務所所在住所: Level 1 The Point @ Varsity, 47 Watts Drive, Varsity Lakes, QLD 4227
郵便物送付先住所: P.O. Box 4837, Robina Town Centre, QLD 4230
代表電話番号 07 - 5539 - 9688
直通電話番号(日本語): 07 - 5503 - 6611
ファックス番号: 07 - 5538 - 2651
■お問合せ先■
Eメールアドレス: seiji@mba-lawyers.com.au および tomoko@mba-lawyers.com.au
WEBサイト: www.mba-lawyers.com.au
※本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。
|
その他の注目記事: |

































































