投資ファンドで始めるオーストラリア財テク入門
- その3 投資ファンドを始めるには [2008/1/11]
家を持ちたい、車を買いたい、豊かなリタイア生活を送りたい…。夢に向かって仕事を頑張ってはいるけれど、現実は厳しくなる一方。そこで、オーストラリアでお金をうまくやりくりするために、投資ファンドのメリット・デメリットを検証。賢く利用して、財テク生活の第1歩を踏み出してみては ?
解説=宇都重信(Uto Insurance & Financial Services)
その3 投資ファンドを始めるには
■投資ファンドについて知りたい
投資ファンドとは、たくさんの人々から集めたお金を1つにまとめて、それを株式や債券、不動産などに投資し、収益をあげていくことを目的にした仕組みです。多くの投資家の資金をまとめて大きなファンドを作り、そのファンドでさまざまな運用先に投資します(図4)。株式や不動産は値上がりを期待できますが、一方で値下がりのリスクもあります。しかし、数多くの投資先に分散して投資することで、投資のリスクを少なくすることができるのです。
また、どのような株式や債券、不動産に投資したら収益をあげることができるか、投資ファンドでは投資運用の専門家、プロのファンド・マネジャーが投資対象の選択を行います。つまり、投資ファンドは、少額のお金でも大資産の投資と同じように、たくさんの投資対象に分散投資することで投資リスクを軽減し、同時に投資の専門家の知識と情報網を利用できる仕組みなのです。
オーストラリアでは現在、数百本のさまざまな投資目的をもったファンドが提供されています。値上り益を追求する「グロウス・ファンド」、ほどほどの値上り益と利回りを同時に求める「バランスド・ファンド」、安定した利回りを重視する「コンサーバティブ・ファンド」などがあります。これにより、前述のポートフォリオの分散(ダイバーシファイド)も簡単に可能にしてくれます。つまり、「キャッシュと債権」対「不動産株と株」の割合を自分のリスク度に合わせた分散型から選ぶことができるのです。
上記の運用の割合が
70%対30%のものを「コンサーバティブ・ファンド」
50%対50%のものを「バランスド・ファンド」
30%対70%のものを「グロウス・ファンド」
とそれぞれ呼びます。
もちろん、株だけ、不動産株だけなどのように、単一の運用先(シングル・セクター)を選ぶこともできます。
参考までに表5で今年6月30日現在のオーストラリアのファンドの運用成績をご紹介します。
■表5:2007年10月31日現在の運用率例
ファンドの種類 | 6カ月 | 1年 | 3年 |
| キャッシュ | 2.4〜3.2 | 5.3〜6.5 | 5.2〜5.9 |
| オーストラリア債権 | 0〜1.9 | 2.2〜5.3 | 3.6〜5.1 |
| 外国債券 | -0.9〜3.2 | 3.7〜5.1 | 4.9〜5.7 |
| 不動産株 | -1.6〜5.9 | 14.2〜21.5 | 19.4〜21.0 |
| オーストラリア株 | -3.4〜18.9 | 7.2〜47.4 | 20.0〜47.7 |
| 外国株 | -4.8〜27.6 | -7.5〜23.7 | 7.4〜18.2 |
| コンサバティブ・ファンド | 1.2〜4.7 | 6.5〜12.5 | 7.7〜11.8 |
| バランスド・ファンド | 0.4〜4.9 | 5.1〜9.4 | 9.7〜11.2 |
| グロース・ファンド | 0.8〜6.5 | 6.0〜20.0 | 12.2〜17.4 |
※上記は各種運用会社の最低と最高の運用率を示しています。上記数字は過去の実績であり、将来の運用率とは異なります。(提供:NAVIGATOR)
■アカウントを開設する
具体的に投資を始めるにあたって、次のような2つの方法があります。
1. 各種投資ファンド会社からPDS(Product Disclosure Statement=ファンド申込み案内書)を取り寄せ、申し込むことができます。オーストラリアの投資ファンド会社には、コロニアル・ファースト・ステート、AMP、AXA、MLC、ING、パーペチュアル、マッコーリー・バンクなど多数あります。これらの中から投資会社を選ぶ際は、それぞれの会社の投資スタイル、格付け、過去長年の実績などを考慮する必要があります。特に株・不動産株に投資する際は、一般的に5〜7年の運用プランが必要と言われています。
2. ファイナンシャル・プランナーにアポイントメントを取り、アドバイスを受け、手続きを代行してもらいます。ファイナンシャル・プランナーは、投資ファンド会社専属のプランナーや、独立した個人プランナーを利用することができます。
こういった投資ファンドは一般的に頭金1,000ドル、月々の積み立ても100ドルという少額からスタートできます。ファンド会社の手続き費用は、掛け金に対して0〜4%でチャージされるのが相場です。その後、マネジメント・フィー(管理費)として、運用先によって異なりますが、年間に運用額の1〜2%がかかります。
投資ファンドは、申し込み用紙を送ることで、アカウントがセットアップできます。また、オプションで月々の積み立てが自由にできます。最初の金額は小切手で支払うか、自分の銀行口座から自動引き落としにすることができます。
一般には3カ月に1回、もしくは会社によっては半年に1回、運用の状況を示すレポートが届きます。最近では、インターネット上で自分の資産の運用状況を24時間いつでも検索することができます。また、運用先の変更や解約の手続きもインターネットや電話、ファクスなどで簡単にできるようになっています。
■ファイナンシャル・プランナーとは
この国でのファイナンシャル・プランナーとは、国家資格であるDFP(ディプロマ・オブ・ファイナンシャル・プランナー)を取得・所持し、顧客である個人から、収入・借り入れ・家族構成・資産などの情報の提供を受け、それをもとに個人的な資産運用、金融・保険に関する総合的なアドバイスをする人です。オーストラリアにはファイナンシャル・プランナーによる会員組織「FPA(豪州ファイナンシャル・プランナー協会=www.fpa.asn.au)」があり、提供できるサービス内容に応じた資格を持つ会員プランナーを紹介しています。
プランナーはまず、投資家の目標についてと、それに関係する情報についてインタビューします。次にプランナーは、その目標に合った運用先の調査、個人の税金や法律との関係、現在または今後の経済状況などをいろいろ考慮しながら、運用や保険のアドバイスをステートメント(説明書)にして提供します。
一般に、アドバイザー・フィーは、運用額から差し引かれる手続き費用からコミッションとしてファンド会社から支払われるか、またはコンサルタント・フィーとして時間単位でチャージされます。
■利益にかかる税金について
投資ファンドは、インカム・ゲイン(利子・配当などによる収益)のほかにキャピタル・ゲイン(株式など資産の価格変動に伴う売却利益)、もしくはキャピタル・ロス(売却差損)が発生します。収益に関してはキャッシュでもらうか再投資に回すかにかかわらず課税対象となり、ほかの収入に加算され、総収入はマージナル・タックス・レート(累進課税)に応じて課税されます。
一方、1年以上保持したキャピタル・ゲインに対しては税制面で優遇され、利益の50%のみが課税対象となります。もう1つのメリットとして、キャピタル・ロスが生じた場合、この国の優遇措置として、将来のキャピタル・ゲインから相殺されることになっています。
■オーストラリアならではの投資先
ご存知のようにオーストラリアは、コモディティー(羊毛、小麦などの農産物、石炭や鉄鉱石などの資源)の生産や輸出が経済全体の大きな役割を果たしています。株式市場でもそれなりの会社が多く上場しており、最近では中国・日本からの資源に対する需要上昇のため、これらの株価が大きく値上がりしてきています。ファンドも資源株ファンドが各種あり、個人の運用先のポートフォリオの一部に組み入れるのもおもしろいかもしれません。
ほかには、「アグリ・ビジネス」という運用先があります。年間を通して気候が安定したオーストラリアでは、ユーカリの木がわずか10年で大きく成長します。それらはパルプ原料として世界各国に輸出されますが、政府にとってはこれも大切な収入源となるほか、環境保護の助けにもなるため、ユーカリの育成プロジェクトに対して税金控除が適用されており、この国ならではの人気の投資商品の1つとなっています。
この記事は情報提供のみを目的としています。
|
その他の注目記事: |






































































