連銀金融経済月報から
- 農業部門での新展開 [2008/4/23]
連銀金融経済月報から
鳥居税務会計事務所 代表
鳥居育雄
連銀金融経済月報は通常、毎月第3木曜日に豪州連邦準備銀行から発表されます。
豪州経済や金融政策に重点を置いた報告書で、豪州経済の現状を理解する最良の教材といえます。今回は、2月21日に刊行されたものから、要約版を掲載します。
農業部門での新展開
2000年以降、農業部門にとっては、特に厳しい期間が続いている。今日までの間、我が国の農業地域は歴史的に見ても乾燥した状況である一方で、気温は記録的な高さとなっている。
−中略−
農産物収穫の減少は、我が国だけでなく、ほかの主要食糧生産国にも見られ、発展途上国の経済成長による需要増やバイオ燃料の生産増加により、実質的な食糧価格は、当分は高止まりすることになろう。
最近の気象条件の変化
平均以上の降雨をもたらすとされる太平洋地域でのラニーニャ現象の出現がはっきりとしてきた。これにより、最近では平均を上回る降雨や洪水が穀物地帯で起こっている。農業生産の多くは冬作であることから、2007−08年の収穫は既に終えており、連邦農業資源経済局(ABARE)では、今年度の農業生産の回復は大きなものではないと予想している。しかし、08−09年度の収穫見通しは強気に転じている。
干ばつの世界的な意味合い
我が国の干ばつとともに、ほかの主要食糧輸出国でも供給面で問題が起きている。気象に関連する供給不足が米国や欧州での主要穀物輸出地域で発生している一方で、中国では、干ばつや農地の転用が稲作に影響を与えている。
中国やインドなどの発展途上国での所得の急増や生活水準の向上により、タンパク質への需要が高まる一方で、エネルギー価格の高騰により、代替燃料であるバイオ燃料へのコーンなどの転用に向けての需要も増えている。これらの要因により、小麦などの主要穀物や米の世界的な在庫は低い水準となり、世界の食糧価格が大きく増加している。
かんばつの国内物価への影響
過去数年間では、食料価格の増加は、我が国での全体の物価上昇率を上回っている。これは、この2つの上昇率が並行していた最近の傾向とは対照的である。干ばつが消費者物価指数(CPI)に大きな影響を与えなかったのには、次の理由があった。
・最終小売食品価格への穀物などの価格の影響は、比較的少なかったこと
・CPI計算での干ばつに影響される食品の影響度は小さかったこと
・干ばつ期では穀物価格が上がる半面、畜殺により食肉価格は下がったこと
・生産不足の場合には、食料の輸入により賄われたこと
最近の干ばつによる食品価格の上昇が続いていることは、以前の干ばつに比較して、広範囲の食品が干ばつの影響を受けていることで説明される。干ばつの持続により、貯水量が不足し、酪農製品や野菜の価格も上昇したことなどがその例である。我が国の食品価格の今後の見通しは、降水量などの国内条件に大きく依存することになる。しかし、世界的な食料価格の上昇により、輸出・輸入の食品価格が上昇することで、国内価格にも大きな圧力が今後も続くことになろう。
禁無断引用(文責 鳥居税務会計事務所)
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