連銀金融経済月報から
- 経済見通しでの新展開 [2008/5/16]
連銀金融経済月報から
鳥居税務会計事務所 代表
鳥居育雄
連銀金融経済月報は通常、毎月第3木曜日に豪州連邦準備銀行から発表されます。
豪州経済や金融政策に重点を置いた報告書で、豪州経済の現状を理解する最良の教材といえます。今回は、3月20日に刊行されたものから、要約版を掲載します。
経済見通しでの新展開
現在の経済情勢は、次のように要約できる。
◆国内外で、経済は見込み以上に拡大している。米国経済の減速を考えても、国際経済は我が国経済にとって極めて好ましいものとなっている。昨年の我が国主要貿易相手国の平均成長率は5.2%であり、4年連続して平均を上回った。
さらに、交易条件の一層の改善もある。昨年9月四半期までに3%上昇し、過去4年間では40%の改善であった。2008年契約では、引き続いて石炭や鉄鉱石での改善も見込まれる。既に、石炭スポット市場では、昨年以上に上昇している。これらにより、連銀では、交易条件は、今年5%上昇すると予想している。
このような状況を受け、我が国経済は昨年、極めて力強いものであった。その主な状況は、1年前より2%ポイント高い成長率であること、国内需要も同様に高いこと、雇用は同じペースで増加しているので、労働生産性は通常に回復したことなどである。
◆2007年は全体として平均を上回る成長であったが、年末に向かい米国やそのほかの主要国の状況は明らかに悪化した。(略)
サブプライム問題は引き続いて米国経済を苦しめている。米ドルの下落による輸出部門の恩恵、財政面からの支援や金利引下げの後押しもあるが、結果の予想は困難である。
そのほかの主要経済国も減速を経験しているが、アジア地域経済は、成長を維持している。中国は昨年11%成長した。アジア経済は昨年6%拡大し、年末まではそのペースが鈍化する兆候はなかった。
◆世界の金融市場は07年半ば以降不安定となった。米国のサブプライム問題から始まった懸念は、信用市場全体に広がった。銀行は、より高い調達コストを経験している。政策金利の引上げと相まって、我が国の国内金融条件はタイトになっている。90日の銀行手形金利をみると、昨日(3月4日)の引上げ(0.25%)を入れると、キャッシュ・レートは過去1年間に1%ポイント上がっているが、銀行手形金利は1.5%ポイント程度上昇している。銀行は、調達コストの上昇に対応して、貸出し金利を引き上げている。
世界の株式市場での下落もある。世界の主要な株式市場では、昨年10月ごろにピークとなったが、現在では、概ね15ないし20%下がっている。
◆国内経済では、インフレ圧力が高まっている。前述のように、1年前にもインフレ率は高かったが、軟化の兆しがあった。事実、昨年3月四半期のCPI結果は、数字の低下を示した。連銀が重視する基礎的数字(コア・インフレ率)も2期連続して低かった。これにより、連銀は、インフレ見込みを引き下げた。
しかし、その後の経済指標はインフレの高まりを示した。その後は力強い需要と経済活動を反映し、3期連続してCPI数字はいずれの測定でも高くなった。昨年12月四半期での年間上昇率は3%を記録し、コア・インフレ率は3.5%程度となった。08年初めのインフレ見込みは、1年前と比べ明らかに上昇した。
禁無断引用(文責 鳥居税務会計事務所)
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