連銀金融経済月報から
- 金融における最近の状況−連銀総裁講演 [2008/6/29]
連銀金融経済月報から
鳥居税務会計事務所 代表
鳥居育雄
連銀金融経済月報は通常、毎月第3木曜日に豪州連邦準備銀行から発表されます。
豪州経済や金融政策に重点を置いた報告書で、豪州経済の現状を理解する最良の教材といえます。今回は、3月20日に刊行されたものから、要約版を掲載します。
金融における最近の状況−連銀総裁講演(2008年3月27日)
はじめに
国際金融市場にとってこの9カ月の間は、本当に難しい時期であった。ある種のリスクが大きく見直され、主な市場では混乱があった。特に、米国経済の見通しが悪化し、極めて流動性に富み、信頼できる市場も不安定であった。これに関連し、経過、現状と今後の対策を論じたい。
−略−
どうしてこのようになったのか
昨年は米国住宅抵当市場でのサブプライム問題一色であったが、問題の根源は、前からあった。その前10年間、国際資本市場では、利回りを追求するという特徴があった。1990年代後半にあった問題とそれの再来を避けることへの反応もあって、アジアでは、投資を上回る貯蓄という特性があった。中国経済の急成長や輸出の増大により、他国にはインフレ引下げ効果をもたらし、需要の拡大と低インフレが両立した。国際市場では、金融資本の追加的コストも下がった。主要先進国の短期金利は、2001年景気後退以降は、長い間通常より低いままで推移した。マクロ経済的に安定した時期が異常に長かった。このような環境でも、利回りを求める動きは続いた。ついには、投資家はより大きなリスクを受け入れるようになった。さらに、容易な資金調達と良好な経済環境の中で、一段と高い利回りを求めて、借入れによる投資が増加した。そして最後には、リスクの引金が引かれた。
07年初めに、米国住宅抵当で増加する損失が明るみに出た。そして、07年7月から8月にかけて潮流に明らかな変化が見えた。今まで投資に力を入れていた銀行や投資銀行のバランスシート改善のために大きな資金が必要となった。このような不安定な環境で、07年後半には、資金需要と流動性への圧力が高まった。短期資金市場での利回りは、中央銀行の定める金利との関連が薄れてきた。中央銀行は、高い流動性で対応した。
今の状況
最近では、さまざまな金融商品に関連した損失が明らかにされている。金融機関や投資家は、損失に際限がないと懸念している。住宅抵当債券の新規発行はほとんどない一方で、無担保社債の減少は止まった。国際的な大手銀行は、抱えるリスクを埋めるために必要としている資本を調達している状況。経営方針の転換等による内部資金もあるが、より多くは株式発行による資金調達である。大きな損失を計上しているにもかかわらず、自己資本比率を改善している金融機関もある。新規資本の調達とともに、借入れの返済も見られる。このバランスシートの縮小という現象は、既に弱気に転じている市場で売却されるため、市場をさらに混乱させる要因ともなっている。
終わりに
過去9カ月の国際的な金融の出来事が不安定性の根源であった。経済環境でのリスク問題が、遅ればせながら認識されたことになる。取り巻く環境は引き続いて難しいものであるが、我が国金融制度の強固さは、課題に立ち向かう、しっかりとした基盤となっている。
禁無断引用(文責 シドニー総合サービス)
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