税務&会計 REVIEW
- カトラー、税務上の研究開発・インセンティブを強化 [2009/1/09]
税務&会計 REVIEW
アーンスト・アンド・ヤング パートナー/日系ビジネス・サービス・ナショナル・ディレクター:菊井 隆正
カトラー、税務上の研究開発・ インセンティブを強化
待望のカトラー・レビュー・グリーン・ペーパーが2008年9月9日に公表されました。このレビューでは、既存のインセンティブの簡素化・増額を通じて、イノベーションを強化するためのさまざまな対策を提案しています。全体に一貫しているテーマは、研究開発(R&D)を行っている大企業と中小企業の双方に対する支援強化の必要性です。今回は、オーストラリア企業のイノベーションを奨励する上で大きな前進となる、このカトラー・レビューを考察します。
主な提言
* 税務優遇措置から税額控除へ
* 売上高5,000万ドル超の企業には40%の税額控除
* 売上高5,000万ドル未満の企業には50%の現金ベースでの税額控除(還付可能)
* 既存の175%プレミアムと国際的インセンティブの廃止
* 外国企業のオーストラリアを拠点とするR&D費用に対する新たなインセンティブ
* 新たなイノベーション助成金制度
カトラー・レビューでは、R&Dインセンティブの歴史的な減少に歯止めをかけるため、主に以下の提言が行われています。
* 大企業に対する40%の税額控除
* 中小企業に対する50%の還付金
* 新たなイノベーション助成金制度
* 開発者に重点を当てた取り組み
イノベーション産業科学研究大臣を務めるキム・カー上院議員は、「今年中に政府はこの提言に対応する」と述べています。 このレビューではイノベーション強化に関するさまざまな要因を提起しています。
本稿では税務上の政策と企業に対する影響について取り上げます。
インセンティブの増額
カトラー・レビューでは、R&D税務優遇金額の引き上げを提言しています。売上高5,000万ドル超の大企業は、40%の税額控除を受けることができます。これは、現状のルールでいえば、R&D費用の125%から133%の税務優遇措置に相当します。また、売上高5,000万ドル未満の中小企業では166%の税務優遇措置に相当し、50%の税額控除という手厚い支援を受けることができます。
このレビューでは追加的税務優遇措置ではなく税額控除制度への移行を提言しており、これは企業の税引き後利益の額に多大な影響を与えることになります。また優遇される金額を算出する上での透明性を高めることにもつながります。
急成長する中小企業に対する注目すべきメリットは、年間売上が5,000万ドル未満で税務上の欠損金のある企業は、還付金の形で税額控除を受けることができるということです(売上高5,000万ドル超の大企業の場合、還付金は受け取れないが、40%の税額控除を受けることができます)。
確実性と透明性の向上
現在の175%プレミアムR&D税務優遇措置(一定の基準を満たしている企業に適用されるR&D追加費用の税務上の優遇措置)は、多くの企業にとって、その税務上のメリットを事前に確認することが困難でした。
カトラー・レビューでは、この制度の複雑さを指摘し、その効果について疑問視しています。その結果、プレミアム税務優遇措置に代わる40〜50%のより広範なR&D税額控除の導入が提言されるようになりました。
外国知的財産R&D
カトラー・レビューでは、外国所有知的財産(IP)に関連したオーストラリアで実施されているR&D費用に、還付不能な40%の税額控除を認めることを提案しています。これは、IPをオーストラリア国外の企業が保有している多国籍企業にとって有益です。製薬会社、ITおよび通信、防衛産業などがこれに該当します。
この提言は、最近導入された、外国企業のオーストラリアを拠点とするR&D費用に対するインセンティブに取って代わるもので、これを簡素化するものです。
革新的なR&Dを評価
カトラー・レビューでは、サービス産業を含めた、さまざまな研究開発者に対する支援の拡大を提言していますが、実務上の制限もあります。支援拡大対象分野の例としては、オープン・ソース・ソフトウェア開発が挙げられます。
これまで政府の支援を受けなければ進めることが難しかったR&D活動への重点的な取り組みも検討されています。このレビューでは、「炭鉱全体」を対象としたプロジェクトや大型土木工事プロジェクトなど、大型プロジェクトの税務優遇措置に対して乱用の懸念があることから、制限を設けることを提言しています。
中小企業の重視
R&Dに対する50%税額控除の導入のほか、カトラー・レビューでは、中小企業(SME)の直接的な利益につながるような変更を提言しています。
売上高5,000万ドル未満の中小企業は、R&D費用の金額に関係なくR&Dに対する還付金を受けることができるように提言しています。既存の規定では、還付金の支払いは売上高500万ドル未満かつR&D費用が100万ドル未満の中小企業に限定されています。
キャッシュフローのメリットを考慮して、このレビューでは、年に1度の還付金支払いではなく、税務年度において四半期ごとの支払いを提案しています。これは、リスク分析とコンプライアンスの遵守に基づいています。
助成金
予算1億5,000万ドルの新しいイノベーション助成金制度が提案されました。年間200社の企業が利用できるこの制度は、イノベーション・プロジェクトを試験するための資金調達が困難な中小企業を対象としています。カトラー・レビューでは、ロイヤルティーや収益からの払戻し制度を検討することも提案しています。
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