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国際医師のレシャードさん 静岡からアフガン出張診療[2010/3/05]

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国際医師のレシャードさん


静岡からアフガン出張診療



文=青木公

[静岡発]静岡県島田市の開業医、レシャード・カレッドさん(60)は毎年、正月休みにアフガニスタンへ出かけ、南部カンダハール郊外の診療所で、戦禍で傷ついたり、栄養不良のアフガン庶民の診療を続けている。戦争8年目、現地報告会を聞いた。

NEWS東西南北 告会で支援者と話すレシャードさん(撮影=青木公)

 レシャード医師は、カンダハール生まれ。1969年、京大医学部に留学。学生時代に日本人女性と結婚し日本に定住、日本国籍を得て、島田市民病院に勤務。その後、アフガニスタンに旧ソ連軍が侵攻し、母国への帰国の道が断たれた。93年に開業医となり、約500人の静岡県民とアフガニスタン復興支援のNGO「カレーズの会」を作った。カレーズというのは、アフガン農地でかんがい用の地下水路だ。

 正月休診の約2週間、かつては、パキスタン北西部からカイバル峠を車で越えて、陸路で故郷へ出かけていた。今回は、パキスタンのイスラマバードから、国連機に便乗してカブール経由でカンダハールへ空路でたどり着いた。

「陸路は、米軍など国際治安部隊を狙う反政府の組織タリバン(神学生という意味)が仕掛けた爆発物で危ないので避けました。軍隊の車と一緒に走っていると爆破テロに巻き込まれるからです。カンダハールで診療帰りに乗っていた車が狙撃されたこともあります。自爆テロが起きると米軍機が飛来して射爆撃するので、かえって危険です」

 レシャード医師がとても生々しいDVDや写真を見せ、約50人の聴衆に語った。

 報告会場で司会役、小野田金宏・カレーズの会副理事長は、「治安が良かった2002〜04年ごろは、カレーズの会会員や医療関係者と現地研修に出かけることができた。国内難民のキャンプを訪ね、テントの仮診療所で治療した当時に比べ、武装勢力が強力になり、日本人の入国はできなくなった」。
 レシャード医師の正月診療は、危険を冒しての強行入国という形だ。

NEWS東西南北 毎年正月休みにアフガンへ出かけ自ら診療し、現地スタッフを指導(写真=カレーズの会提供)

1万人に医師1人

 ところで、カンダハールはカブールに次ぐ第2の都市。人口210万人。総合病院1つ。ほかに病院1つ、診療所7。医師は212人で、住民1万に1人という状態。02年に、レシャード医師の弟シェルシャーさんが、静岡から現地に行き、診療所と難民キャンプで巡回治療を始めた。静岡の人々の寄金、会費で、医療品や給料をまかなった。アフガニスタン人の医療費は無料。1日30〜40人がやって来た。

 レシャード医師は、勤務医時代に、JICA(国際協力機構)派遣でイエメン共和国へ家族とともに出かけ、医療活動した縁で、JICA研修でアフガン医師を日本に招き、人材づくりにも努めた。残念なことに、そのアフガン医師も、タリバンの自爆テロで08年に殺されてしまった。

 カレーズの会は、医療とともに教育にも力を入れてきた。巡回診療には母親に連れられて子どもがやって来る。青空教室で男女別々の場所で、学用品も足りない。会としては、自前の診療所と学校を建てようという声が強くなっていった。

ケガは自爆テロと誤爆

 国際支援の海外資金は、首都カブールに集中する。“援助バブル”と言われるほど、町や役所の復興は進んでいる。しかし、地域格差は広がり、タリバン勢力の強い南部カンダハール地方には支援が及びにくい。

 治安が悪化する中で、州政府や長老たちの支援を得て、カンダハール東10キロのアイノメーナに自前の診療所がやっと完成。オープンしたのは、2年前の08年4月だ。1カ月で200人以上の患者がやって来る。

 患者には2種類ある。外傷患者は、米軍はじめ国際治安部隊の誤爆、誤射とタリバンの自爆テロによるものが多い。内科は、女性と子どもの患者。お産死と伝染病、栄養不良など。全患者の60%は女性と子ども−−と現地代表のシェルシャーさんは報告している。

 自前のカレーズ診療所は、日本政府の草の根無償資金1,000万円と、カレーズ会員の寄金、資金によるものだ。最新の医療機材も、日本の援助だが、レシャード医師の熱意と実行力がものを言っている。

 学校も09年10月完成。8教室と図書室で10年2月、開校にこぎ着けた。

NEWS東西南北 カンダハール郊外にあるカレーズ診療所の現地スタッフたち(写真=カレーズの会提供)

ケシ密輸に国境封鎖を

 レシャード医師は、アフガニスタンの現状に厳しい見方をする。「地獄の沙汰もカネ次第。カネ、カネの社会でカルザイ政権の腐敗、汚職はひどい」「米国のオバマ政権は、3万人の兵士を増派するが、外国軍隊への反感は強い。人々が戦闘に巻き込まれるからだ」「日本は、陸上部隊を派遣していないから、アフガニスタン人は好意を抱いている。民生支援に期待している」という。

 最近、出版した自分史風の著作「知ってほしいアフガニスタン 戦禍はなぜ止まらないか」(高文研)にも記している。

 タリバンの資金は、麻薬の原料となるケシだ。ケシの海外密輸を防ぐには、国際部隊は戦闘よりも国境の完全閉封をやる方がよい。またタリバンとアフガン政府の対話で、和平を−−と提言する。

 10年2月、ロンドンで和平を探る国際会議が開かれた。もし平和になったらレシャードさんは故国に戻るだろうか。静岡では、評価の名医だ。患者と時間をかけて接し、山間部への往診にも出かけ、介護施設の管理者でもある。地域に欠かせない存在だ。両国をつなぐ国際医師といえようか。

 カレーズの会は、静岡市葵区駿府町1-70、電話054-255-7326。

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