北京五輪特集
- 北京五輪特集 今年も強いゾ! 日本代表の活躍に期待大! [2008/8/13]
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北京五輪特集
今年も強いゾ!日本代表の活躍に期待大!
北京五輪がいよいよ開幕
シドニーの感動から8年、アテネの興奮から4年が経った2008年8月、第29回夏季オリンピックが北京で開催される。待ちに待ったオリンピック・シーズンの到来だ。世界中からトップ・アスリートが集う北京オリンピック(以下、北京)は、北京市北部に建設されたオリンピック公園をメイン会場に、8月8日から24日まで17日間にわたり熱戦が繰り広げられる。この北京で注目の競技と選手、その見どころを紹介するので、観戦の参考にしていただきたい。
「チームジャパン」は前回のメダル数を上回れるか
アテネ・オリンピック(以下、アテネ)では、金16、銀9、銅12の合計37個のメダルを獲得したチーム・ジャパン。その背景には柔道や競泳陣の目覚ましい活躍があった。では、今回のチーム・ジャパンはどうだろうか。北京五輪開幕を目前に控えた今、日本でメダルが期待される競技と選手をチェックしてみよう。
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| 日本競泳のエース・北島康介は2大会連続「金」に最も近い男と言える |
男女 競泳
英SPEEDO社の「レザーレーサー」に端を発した水着問題(後述)も最終的には「選手の自由選択」という形で決着し、ようやく選手が競技に集中することができるようになった。世界レベルの大会で常に結果を残している実力者ぞろいの日本競泳陣の中で、メダルが最も期待されるのは、やはりアテネの金メダリストである北島康介だ。
2005年と06年の日本選手権の男子200メートル平泳ぎで優勝を逃すなど、アテネ以降は苦しい時期が続いたが、オリンピック・イヤーである今年の6月8日に行われたジャパン・オープンの男子200メートル平泳ぎで、2分07秒51の世界新記録を樹立し、北京に向けてしっかりと仕上がっていることを証明した。北島にとって最大のライバルであるブレンダン・ハンセン(アメリカ)が200メートルで代表を逃したことも北島にとっては追い風。これらの点を踏まえて考えると、男子平泳ぎは「北島に続く選手がどこまで北島に迫ることができるか」というレース展開になるはずだ。
北島のほかにも、アテネの金メダリストである柴田亜衣(女子800メートル自由形)や銅メダリストの森田智己(100メートル背泳ぎ)、同じく銅メダリストの中村礼子(女子100メートル背泳ぎ・200メートル背泳ぎ)らの泳ぎにも期待が持てる。また、19歳の入江陵介(男子200メートル平泳ぎ)や21歳の種田恵(女子100メートル平泳ぎ・200メートル平泳ぎ)といった若い世代が頭角を現しているのも心強い。
その中でも伊藤華英(女子100メートル背泳ぎ・200メートル背泳ぎ)の泳ぎに注目したい。スイマーとして恵まれた体格を持ち、10代のころから大器として活躍が期待され続けていた伊藤は、4月に行われた日本選手権で中村礼子を破り日本新記録を樹立。周囲の期待にようやく結果で応えることができた。北京オリンピックでもそのスケールの大きな泳ぎでぜひメダルを手にしてほしい。
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| 「ママでも金」を目指す谷亮子。ピークを越えたと言われるが、信頼感と安定感で日本女子柔道界を牽引する |
男女柔道
シドニー・オリンピック(以下、シドニー)の表彰台で、母親の遺影を掲げて感動を呼んだ日本柔道界の大黒柱、井上康生が代表落選と同時に第一線を退いた。また、アトランタ−シドニー−アテネとオリンピック3連覇を成し遂げ、日本人として前人未到のオリンピック4連覇を目指した野村忠宏も北京の舞台に立つことは叶わなかった。代わって井上と同じ男子100キロ超級で代表に選出された21歳の石井慧、野村が君臨していた男子60キロ級で代表に選出された23歳の平岡拓晃ら、今後の日本柔道界を背負っていく選手たちが北京の舞台に立つ。
名実ともに日本柔道界のエースである鈴木桂治(男子100キロ級)や「ママでも金」を目指す谷亮子(女子48キロ級)らがキャリアのピークを迎えている今、日本柔道界に世代交代が迫っている。
そんな時に石井や平岡が代表に選出されたのは、今後の日本柔道界にとって大きな意味を持つだろう。日本の柔道代表は、全階級でメダルが狙える実力を持っているが、特に鈴木と谷、そして石井の3人が金メダルに最も近い選手である。
女子レスリング
柔道は全階級でメダルが狙えるが、女子レスリングでは全階級で「金」メダルが狙えるほどの実力者がそろっている。その筆頭がアテネの金メダリストで、カミソリのような切れ味を持つ高速タックルを武器に公式戦119連勝という金字塔を打ち立てた吉田沙保里(女子フリースタイル55キロ級)だ。08年1月に中国の太原で開催された女子ワールド・カップ団体戦でマルシー・バンデュルセン(アメリカ)に判定で敗れ、連勝記録がストップした吉田だが、その実力は世界でも抜きん出ている。ワールド・カップと同じ中国の地で、吉田がリベンジに燃えているのは間違いない。
吉田のほかにも、アテネの銀メダリストで06年と07年の世界選手権王者である伊調千春(女子フリースタイル48キロ級)、千春の妹でアテネの金メダリストである伊調馨(女子フリースタイル63キロ級)は順等に勝ち上がり、メダルを獲得するだろう。元プロレスラーのアニマル浜口氏を父に持ち、アテネの銅メダリストである浜口京子(女子フリースタイル72キロ級)は、相次ぐ不可解な判定によって世界王者の座を逃してきた。30歳という年齢からも今回の北京が金メダルへのラストチャンスとなるはずだ。悲願の金メダルへ、文字通り父親との父子鷹で挑む浜口の活躍に期待したい。
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| 五輪史上初の女子マラソン連覇を目指す野口みずき |
女子マラソン
シドニーの街を爽やかに駆け抜けた高橋尚子と、マラソン発祥の地と言われるアテネで新女王に輝いた野口みずきによって、日本はオリンピックの女子マラソンをリードする存在となった。そして、日本のオリンピック女子マラソン3連覇を目指して、再び野口がスタートラインに立つ。
野口は身長150センチと小柄ながら、日本人としては珍しいストライド走法(歩幅を大きくとって跳ねるように走る走法)を持ち味としており、アテネ以降に出場した10レース(マラソン/ハーフマラソン)で実に優勝9回、2位1回という圧倒的な強さを見せている。オリンピック史上、女子マラソンで連覇を果たした選手はまだいない。それだけに北京での野口の走りは世界中の注目を集めるだろう。
野口だけでなく、持ち前の粘り強い走りで出場レースはすべて5位以内に入賞している土佐礼子、2008年3月の名古屋国際女子マラソンで初出場・初優勝を果たした中村友梨香の走りにも期待したい。シドニーのようなアップダウンの激しさはないものの、石畳とアスファルトが入り交じる北京のコースは、路面の硬さや道路幅の変化が激しく、大気汚染(後述)による選手への悪影響も懸念されている。出場する選手にとって同じ条件である以上、コースを理由にすることはできないが、高橋尚子が持つ女子マラソンのオリンピック記録を塗り替えるのは難しいかもしれない。また、アップダウンの少ない平坦なコースの影響で、シドニーやアテネに比べて駆け引きという点でも物足りなさを感じるレース展開となる可能性が高い。
だが、力強い走りの野口、粘りの土佐、若さの中村、彼女たちがそれぞれ自分の持ち味を発揮することができれば、オリンピックのメイン・スタジアムである北京国家体育場で国旗掲揚台の中央に日の丸が掲げられるはずだ。
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| 体操王国・日本をアテネでも見せた日本。今年もメダルの期待がかかる |
まだまだ注目の競技が目白押し
ここまでメダルの可能性が高い競技をピックアップしてきたが、サッカーや野球といった人気の競技も見逃せない。23歳以下の選手で行われる男子サッカーは、予選グループで強豪のオランダやアメリカと同組という非常に厳しいグループに入った。オランダでプレーする本田圭佑や柏レイソルの李忠成といったハートの強い選手が、プレーと精神面の両方でどこまでチームを引っ張っていけるかに注目したい。
一方の女子サッカーは、国際サッカー連盟(FIFA)の世界ランキングで10位(7月10日現在)に位置しており、実績は男子を上回っている。グループ・リーグで強豪のアメリカと同組に入ったが、エースで大黒柱の澤穂希を中心に、ベテランの荒川恵理子や鋭い得点感覚を持つ大野忍らフォワード陣がチャンスをモノにすることができれば、グループ・リーグを突破して決勝トーナメントへ駒を進める力はある。また、強豪のドイツやスウェーデンといったヨーロッパのチームが北京の暑さに悩まされることも十分に考えられる。そこで踏ん張ることができるか、「なでしこジャパン」の愛称を持つ彼女たちが北京で大きく花開くことを願おう。
1992年に開催されたバルセロナ五輪で正式種目となった野球は、2012年ロンドン五輪で正式種目から外れることが決定している。16年以降に再び実施されるかは未定となっており、今回の北京が最後となる可能性もある。正式種目になってから金メダルを獲得していない日本だけに、星野仙一監督率いる「星野ジャパン」が今回の北京に懸ける思いは並々ならぬものがあるはずだ。
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| 星野ジャパンのエース・ダルビッシュ有 |
また、ソフトボールも12年のロンドン五輪で正式種目から外れることが決定している。日本はシドニーで銀メダル、アテネで銅メダルに輝いているが、未だ金メダルには手が届いていない。今回の日本代表は、不動のエースである上野由岐子と走攻守そろったキャプテンの山田恵理を中心に、悲願の金メダルを狙う。世界最速とも言われる最高時速119キロの速球で相手バッターをねじ伏せる上野の力強いピッチングに注目しよう。
アテネの団体で優勝した男子体操では、エースの冨田洋之と鹿島丈博の活躍次第では2大会連続の金メダルも見えてくる。冨田と鹿島には個人種目でのメダルにも期待したい。
団体競技では「マーメイド・ジャパン」の愛称を持つシンクロナイズド・スイミング日本代表にもメダルの期待がかかる。シドニー、アテネともに8人で演技するチームとペアで演技するデュエットの両方でメダルを獲得している日本だが、いずれも金メダルには届いていない。これまで女王ロシアの壁に阻まれ続けてきた日本のマーメイドたちは、自分たちにしかできない「日本の美の表現」に取り組んできた。北京ではその集大成でロシアへ挑む。
人気と実力で日本の女子バドミントン界を引っ張る「オグシオ」こと小椋久美子・潮田玲子ペアは、世界ランキング7位というメダルを期待させるだけの実力を持っている。だが、世界ランキングの1位から3位を独占する中国が、地元の声援を受けてメダルを独占する可能性が高いのもまた事実だ。柔の潮田と剛の小椋、2人のコンビネーションで中国に勝利し、なんとかメダルを獲得してほしい。
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| オーストラリアは世界新記録ラッシュで王国の底力を見せつけるか |
オーストラリアはここに注目
アテネでは金17、銀16、銅16(計49)を獲得し、日本を上回るメダル獲得数でスポーツ大国としての強さを見せつけたオーストラリア。今大会は434人のアスリートを率いて、米・中・露のビッグ3に挑む。
男女 競泳
イアン・ソープの引退で、押しも押されぬ競泳陣のエースとなったグラン・ハケットはアテネで金1、銀2と磐石の強さを見せつけた。北京でも男子1500メートル自由形、400メートル自由形に出場するが、メダルは確実視されている。
ハケット以外にも豪競泳陣の層の厚さは他国を圧倒していると言っていいだろう。男子50メートル自由形の世界記録保持者であるイーモン・サリバンをはじめ、女子50メートル自由形と100メートル自由形の世界記録保持者リスベス・トリケット、女子100メートル背泳ぎと200メートル背泳ぎの世界記録保持者リーゼル・ジョーンズらを擁するオーストラリアだけに、メダル・ラッシュに期待がかかる。
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| 世界最高峰の実力を誇る女子バスケ |
女子 バスケットボール
アテネで銀を獲得し、オーストラリアの女子バスケ史上最強チームと言われる“オパールズ”(豪女子バスケ代表の愛称)が念願の金を目指す。
2006年の女子バスケ世界選手権で豪州は難敵・ロシアを下し優勝。同大会でMVPに選ばれ、優勝の原動力となったフォワードのペニー・テイラーに注目だ。米・WNBA(女子のNBA)フェニックスに所属し、07年にWNBA制覇も経験した彼女が、チームを牽引する。ブラジル、米国、ロシアがライバルとして立ちはだかる。
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| 日本とともにアジア・サッカーの代表として戦うサッカルーズ |
男女 ソフトボール
シドニーで銅、アテネで銀を獲得している女子ソフトボールもメダルが期待できる。長年にわたる日本の良きライバルとして、今回も好勝負を見せてくれるはずだ。前哨戦となった7月のカナダ・カップでは日本に逆転負けを喫するも、6回まで日本をリードしていた。打撃力は世界1、2を争う強打のチームだ。
ほかにもメダル争いに食い込むだけの実力があるボートやヨット、自転車などの競技では、スポーツ大国オーストラリアの活躍が期待できるだろう。
深刻な北京の環境問題
オリンピック開催を目前に控えた北京では、大気汚染などによる環境問題がニュースなどで取沙汰されている。深刻な大気汚染は選手と競技に影響を及ぼす可能性があり、現に、男子マラソンの世界記録保持者のハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)は「大気汚染が自分の体にとって脅威である」という理由から出場を辞退している。また、こうした環境問題によって、屋外競技で世界記録が出にくいとも言われている。もちろん大気汚染というのは急速に改善できる問題ではない。それだけに選手の健康状態についてはメディカル・スタッフをはじめ、大会関係者が細心の注意を払っていく必要がある。
レーザーレーサー騒動に見る 現代スポーツの問題点
英SPEEDO社製の水着「レーザーレーサー(以下、LZR)」が、世界中で注目を浴びている。水の抵抗を極限まで減らしたその驚異的な性能は、もはやレーザーレーサーなしでは世界で戦えないと言っても過言ではないほどだ。日本でもSPEEDO社が日本水連の契約メーカーでないことや、SPEEDO社以外のメーカーと個人契約を結ぶ選手がいることで、大きな話題となった。結局、水着の選択は選手個人に委ねられ、北島をはじめほとんどの選手が北京ではLZRを着用する意思を表明している。今年になってからというもの、高性能なLZRの影響で世界記録が次々と塗り替えられているのも事実。だが、水着はあくまで道具にすぎない。確かに道具である以上は性能を追求するべきだが、それによって結果にここまで影響することに違和感がある人も少なくないのでは。現代スポーツの抱える問題点の1つがここにある気がしてならない。
オリンピックの意義
最後に、ぜひ注目してほしい選手がいる。馬場馬術団体に出場する法華津寛という選手だ。日本のオリンピック選手として史上最高齢である67歳の彼は、なんと44年前の1964年に開催された東京オリンピックにも出場している。彼のようなベテラン中のベテランと、10代の若者たちが同じ選手として出場できる大会、それがオリンピックだ。近代オリンピックの父と言われるピエール・ド・クーベルタンの名言にあるように、「オリンピックは参加することに意義がある」のだ。
北京五輪 主な種目別カレンダー

著者PROFILE 堀吉城治
日本での出版社勤務を経て、1999年に日豪プレス入社。ニュース記事のほかに、オリンピック特別号やオーストラリアのスポーツに焦点を当てた集中連載「THE VOICE」などを担当し、2001年帰国。編集者、フリーライター、WEBディレクターを経て、志をともにする仲間と2008年6月に「株式会社ライムブライト(http://www.limebright.net)」を設立。



























