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メルボルン国際日本語学校校長 藤家管幸さんメルボルン国際日本語学校校長 藤家管幸さん
 日本語力の保持・伸長を目的とし、週1日土曜日だけ開校するメルボルン国際日本語学校。メルボルン市内のブライトンにある同校に今年4月から新校長として就任した藤家管幸さんに、オーストラリアにおける日本語教育の現状について聞いた。


――学校発足の経緯について教えてください。
 これまでも日本人学校は古くから土曜校として存続していたのですが、1986年に日本政府の管轄下に入ったことで、日本の文部省(現・文部科学省)のカリキュラムに従ったフルタイムの学校として独立することが認められました。しかし、土曜校は土曜校で残してほしいという、保護者の有志の声によって、日本語学校としての存続が決定したということです。当時の保護者たちの間にも、平日は英語環境の中で教育したいが、一方で、日本語力もキープさせたい、といったニーズがあったと聞いています。

――来豪に至るまでの経緯と校長就任のきっかけを教えてください。
 もともとは、日本で中学校教師をしていました。ただ、55歳になった時にふと、仕事も区切りのいいところまでやったし、もう十分かな、と思ったんです。そこで、衝動的に退職者ビザを取得し、昨年7月に来豪しました。
 また、どういうわけか昔からメルボルンに縁があったことも来豪の理由として非常に大きいと思います。弟が16年前から永住しており、子供たちをメルボルンに留学させたり、日本ではメルボルンの中高校生の交換留学の世話をしたり。また、自宅にオーストラリアの大学生をホームステイさせていたこともあります。
 このような経緯から、来豪当初よりボランティアでもいいから何かこちらの社会に役立つことをしたい、と考えておりました。そんな時、メルボルン国際日本語学校の校長職募集を目にし、この仕事に興味を持ったわけです。自分の経歴も生かせるし、週に1日だからこそ、逆にじっくり仕事に取り組めると考えました。

――どのような生徒たちが土曜校に集まっているのでしょうか。やはり日本人が大半なのですか ?
 生徒は幼稚園から高校生まで全部で320人強いますが、親の仕事などの都合による一時滞在の生徒と、日本国籍とオーストラリア国籍を併せ持つ生徒、もしくは永住権を持つ生徒の大きく2つに分かれます。またわずかですが、オーストラリア国籍しか持たない生徒もいます。日本語の授業が理解できるだけの日本語力を持っていることが入学の条件ですが、母国語が英語という生徒も多くいます。
 おもしろいことに、かつては一時滞在の生徒の方が過半数を占めていたのですが、ここ数年で、日豪両国籍、もしくは永住権を持つ生徒の数がそれを上回るようになってきているようです。おそらく、近年の国際結婚の増加などが、直接のきっかけになっているのではないでしょうか。

――生徒、もしくは保護者たちは土曜校に何を求めてやって来るのですか。
 これは、一時滞在の生徒と、日豪両国籍や永住権を持っている生徒とで、大きく異なってきます。例えば前者の場合、いずれ日本に帰らなければなりません。ですから、帰国後の進学などに支障が出ないよう、学年相応の日本語力をキープすることが目的となります。
 一方、オーストラリア人として生活している生徒たちは、日本から来ている生徒に比べて日本語力が不足していますから、語学力を高める手助けとして学校を利用しています。後者は、わりとのんびりと日本語力を伸ばしていきたいと考える生徒が多いようです。
 ですから、教える側としては、授業をいかに構成するかが頭の悩ませどころになってきます。日本語を母国語として育ってきた生徒とそうでない生徒のレベルは異なりますから。まずは授業内で学年相応の平均レベルを教え、あとは個々に宿題を出すなどして、生徒の進路先やレベルに合わせた課題を与えるようにしています。

――生徒たちの雰囲気はいかがですか ?
 基本的に平日は地元の学校に通っている生徒が大半ですから、休み時間になると日本語と英語をミックスさせながら、和気あいあいとコミュニケーションを楽しんでいます。特に日本から一時滞在として来ている子は、英語のストレスなどから開放されて、のびのびとして見えますね。また、日本人同士が知り合ういい機会であることから、コミュニティーの輪を広げるきっかけにもなっているようです。

――オーストラリアと日本の教育現場との相違点を感じますか ?
 やはり、違いはありますね。例えば、オーストラリアでは、多くの学校で授業中に飲み食いすることが容認されていますが、これは日本の現場ではありえないことです。最初は違和感を覚えました。日本の教育の方が、けじめがあると言ってもいいかもしれません。
 しかし見方を変えれば、この国の方が柔軟性に富んでいるとも言える。例えば、日本だと入試時に風邪を引いた場合、自己管理不足ということで追試は認められませんが、オーストラリアは医師の診断書があれば追試が認められます。
 一方で、類似点もあります。親子のコミュニケーション不足、いじめや校内暴力などは、日本と同じようにオーストラリアでも社会問題になりつつあります。ここ十数年の経済成長により、オーストラリア人のライフスタイルが、非常に日本的になってきているからではないでしょうか。ただ幸いなことに、オーストラリアでは、日本よりも子供に対する指導力をまだ保持できているように感じます。

――当面の課題、もしくは今後取り組んでいきたいことなどについて、お聞かせください。
 まずはカリキュラムの整備や、先生の待遇、環境など学校全体の体制を整えていくことが最優先の課題ですね。日本政府からもサポートを受けていますが、現状では日本国籍の生徒にしか補助金が出ないのが残念なところです。また、VIC州のエスニック・スクールの認可申請もしているのですが、その場合はVIC州のカリキュラムに従わなければならず、このあたりに運営の難しさがあります。
 授業内では、体験学習の機会も増やしていきたいと考えています。以前、日本のメーカーに勤務している方を学校に招き、モノづくりをテーマに日本語でスピーチしてもらった時には、生徒たちも非常に興味深く聞き入っていたようでした。教科書を使った授業だけではなく、日本文化に直接触れることができるようなチャンスをもっと作っていきたいですね。
 私は、言葉を学ぶことは文化を学ぶことにつながると考えています。この仕事を通じて、日本文化の国際理解を広げるきっかけになればうれしいですね。

藤家管幸さんプロフィル
藤家管幸さん


 1949年3月生まれ。新潟県出身。埼玉県の公立中学校に32年間勤務。2004年7月に来豪。2005年4月、メルボルン国際日本語学校校長に就任






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