見逃せないQLD
- ゴールドコーストの目玉アトラクション「ホエール・ウォッチング」 [2008/7/05]

6月某日、旬のアトラクション「ホエール・ウォッチング・ツアー」に参加した。クジラとの待望の出会いに船上が沸く。
取材・写真=本紙編集部
(写真)朝8時30ころ、「スピリット号」に乗り込む

(写真)祈る思いでクジラのブローを探す乗客たち
「どっちが先にガールフレンドを見つけるか競争だ ! 」。雄のクジラたちが、暖かい海を目指して北へと急ぐ。今年の流行歌を歌いながら…。
いよいよクジラ・ウォッチングの季節が到来した。クジラを目撃できるベスト・シーズンは通常、6月初旬から11月初旬と言われている。理由は、恋、出産、子育てのため、南極に住むクジラたちが暖かい海を求め、QLD州北部のウィットサンデー諸島付近まで北上するからだ。距離にしておよそ1万キロ。中にはパプアニューギニアまで、約1万2,000キロの旅をするクジラもいるという。
この期間、水面に現れ人間に姿を見せてくれるのはザトウクジラと呼ばれる種類のクジラで、大きいもので体長18メートル、体重は40トンもある。その実物を実際に肉眼で見られるというのだから、そのチャンスを逃す手はない。

(写真)ブローを交代に上げながら、北へと急ぐ2頭のクジラ
今回参加したのは、ゴールドコースト(GC)にあるシーワールド・リゾートから「スピリット号」という船でクジラを探しにいく、約3時間のツアー。これほど短時間のツアーが組まれていることからも、「90%以上の確率でクジラに出会える」という噂に真実味が窺える。
街中から送迎バスに乗って出発地点へ。ピックアップは午前8時前後。乗船し、船が出発するのは9時ごろとなる。船上では、出向する前にモーニング・ティーのサービスがあり、コーヒーまたは紅茶、クッキーなどでもてなされる。スピリット号は安定性の高いカタマラン船(双胴船)だが、天候などにより揺れが大きい場合ももちろんある。船酔いが心配なら、事前に酔い止め薬を飲むのがお薦め。薬は船上でも購入可能だ。
席はすべて自由席。混み具合にもよるが、2階建ての船内を好きに移動することができる。最高気温26度という好天気に恵まれたこの日は、迷わずデッキに出ることにした。青く澄み渡る大空、真っ青な海、太陽の温もり、さわやかな風が、多忙な日々をいっぺんに忘れさせてくれる。しかもこの先クジラと出会えるかもしれないというのだから、なんて贅沢なツアーなのだろう。

(写真)クジラが潜水する時に、海面に残す大きな足跡
外洋に出ると通常、揺れは多少大きくなる。が、この日の海は驚くほど穏やかだった。おかげで酔うことはなかったが、クジラ探しはやや難航した。
「いた ! あそこ、あそこに見つけた ! 」。デッキの先頭に立ちクジラを探していた男の子が、興奮気味に1時の方向(斜め右)を指差すも、クルーが確認すると、それは海鳥だった。「見て、あそこで何かが動いてる ! 」。また誰かが大声で叫ぶ。が、その正体は海亀だった。そんな調子が長く続き、乗客に諦めの表情が浮かぶ。
「みんな、諦めないで。ほら、探し続けましょう。クジラを探すんじゃなくて、クジラのブロー(潮吹き)を探すのよ ! 」。クルーの1人が大声で乗客を励ますけれど、皆いまいちテンションが上がらない。
その時、不意に強力な激励者が現れた。イルカだ ! 船に寄り添うように、1頭のイルカが優雅に回遊していたのだ。これには乗客も元気付けられた。改めて自分たちが自然界のど真ん中に存在することを思い知らされ、“必ずクジラもこの海のどこかにいるんだ”と確信する。気を入れ直し、再び総出でクジラ探しにとりかかった。
すると、「見えた ! 今ブローが上がった。ほらまた上がった」。乗客の1人が12時(正面)の方向を指差した。皆が一斉に同じ方向を凝視する。今度こそクジラであってほしいと、誰もが心の内で祈っていた。数秒後、乗客から歓喜の声が上がる。はるかかなたの青い空が、薄っすらと白く色づいた。クジラのブローだ。
スピリット号は直ちにスピードを上げ、ブローが上がった付近へ一路向かう。デッキも、陣地の確保やカメラの準備に急ぐ乗客で一気に慌ただしくなった。待ち時間が長かった分、喜びはひと際大きい。こうして、出航して約2時間後、ついに待望の瞬間が訪れた。

(写真)きらきら光る水面に、クジラの巨体が出現。皆言葉を失う
クジラは2頭いて、交互にブローを行っていた。巨体が水面に姿を現すたびに、乗客から歓声が上がる。水しぶきがここまで届くのではないかと思えるほどダイナミックなブローを披露してくれた時は、船上から大拍手が沸いた。
その後、今度は8時の方向(左斜め後ろ)に別のクジラが出現。船から2、3メートルという近距離に突然現れたので、船上は興奮の渦に。上方からサーチしているクルーが「今船の下に潜ったから、今度は船の右手から現れるぞ。右だ右 ! 」と叫ぶのが聞こえると、揺れるデッキを左から右へ、皆で大移動。大忙しだ。そして、クジラが再び姿を現すと、皆言葉を失った。きらきら光る水面に艶やかな巨体がザバーっと出現する光景は、何とも言いようがない美しさだ。潜伏した後も、クジラの白いお腹が海中でゆらゆら動くのがはっきり見えた。「今あそこ、あそこにいる」と人々は口々に叫んで、可能な限り目で追った。そしてシャッター・チャンスを狙う。子どもも大人も、誰もが夢中だった。
後で聞いた話によると、目撃したクジラたちは独身の雄クジラではないかということだった。そう言えば、代わる代わる巨体を覗かせ、ハイスピードでぐんぐん前進していた2頭のクジラは、まるで競争しているようにも見えた。もしかすると、どっちが先にガールフレンドを見つけるか競っているのかもしれない。さまざまな想像を膨らませながら、彼らの長旅と恋の成就を祈りつつ帰路に着いた。
雄クジラは歌が得意だそうで、時には1日中歌うこともあるらしい。新曲を歌うと雌に人気が出るため、歌には毎年流行りがあるというから驚きだ。そんなクジラのほのぼのエピソードを、ガイドさんから日本語で聞けるのも同ツアーのいいところ。期間限定のGCの目玉アトラクション「ホエール・ウォッチング」。お見逃しなく。
■ホエール・ウォッチング
連絡先:JPT TOURS
Tel: (07)5539-8492
Fax: (07)5539-8026
Web: www.jpttours.com
ツアーに含まれるもの:送迎、日本語ガイド、クルーズ乗船、モーニング・ティーなど
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