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    MASUYAグループ 就職最前線
     - BOYS BE AMBITIOUS ! 第6回  [2008/12/01]

BOYS BE AMBITIOUS !

連載No.6
食、自然、そして人…。本音で語ろう
KEN SADAMATSU

 今回の第二部「私と自然」その2では、食材の仕入れ方とともに、A.T.ファーム(農場)、ハンター・バレー(ワイナリー)、アラダラ(漁港)を紹介していく。


(写真)セントラル・コースト内陸部にあるA.T.ファームでダイコンの品定めをする定松氏

BOYS BE AMBITIOUS !

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定松氏がよく立ち寄る、A.T.ファームの近くの「ベルブルック・ナーサリー・ティー・ショップ」

第二部その2

■鱒屋社長・定松の仕入れ
『利は元にあり』という。どんな商売をしていても、人の物まねでは絶対に失敗する。自らのオリジナリティーがなければならない。レストラン業の場合、メニューの独創性を出すためには、食材の仕入れをいかに行うかが大切である。今までシドニーで閉店になった日本食レストランのほとんどは、その料理長が自ら仕入れに行っていない店だった。それは、お客様においしい料理を提供しようという熱意がないということだと思う・・・。
 私は新人のスタッフを魚市場に連れて行き、挨拶の仕方から、モノを言う間合い、メニューの開発の仕方、業者さんに食材について教えてもらう。そして私の商法について――例えば今のシーズンは南マグロ(ブルー・フィン・ツナ)が入ってくる。店側は当然高値で仕入れているわけだから売値も高くなる。しかし私はその商品を原価率50%にし、わが店のお薦めとする。2カンで$10の寿司なら普通の人は注文できない。何よりもここオーストラリアでは、多くの人に味を知ってもらうことが大事というのが私のやり方だ――ということなどを教える。
 ところで、私はステーキが大好きである。赤身の牛肉にマスタードをつけ、シラーズ(Shiraz)の赤ワインとともに味わう。ワインが肉を引き立て、肉もまたワインを引き立てる。しかし、残念ながら、数年前に閉店したヒルトン・ホテルのサン・フランシスコ・グリルを最後に、シドニーで私がお薦めするステーキ・レストランがなくなってしまった。肉を焼くのは誰でもできる。しかし、肉の各部分によって火の通り方が違う。また、それがオス牛かメス牛か、牧草を食べて育ったのか、それとも穀物飼育か、生後300日あるいは400日か、飼い主にストレスなくのびのびと育てられたかどうか――。どれだけ肉質を見極められるかが、一流のステーキ職人になれるかどうかのカギだ。そのためには10年間は経験が必要だと思う。
 私は、仕入れにおいて業者の人はパートナーと同じだと思っている。私の目であり、足である。作物を育てる人、自然と戦いながらの収穫…。今回は年に何度も訪れている食材の産地を紹介していく。

■A.T.ファーム
(Australia Technology Farm)
Peat Ridge, 130 Nardoo Rd. Tel: (02)4373-1563
 シドニーから北へ1時間半。25年前に東大農学部を卒業したボン先生は、セントラル・コーストにあるゴスフォード(Gosford)の農業試験場で研究を続け、5年ほど前から、10ヘクタールの土地で日本野菜の栽培を始めた。ムーニー・ムーニー川(Mooney Mooney Creek)からポンプで吸い上げた天然水を使用し、近所の養鶏場の鶏糞を6カ月間天日で乾燥させて、自ら堆肥を作ることにより、有機農法を研究・実践している。今の時期は冬場で収穫が少ないが、9月中旬より小松菜やゴボウ、大根、カブ、水菜が獲れる。10月には梅酒用の梅が満開になり、その後も栗カボチャや桃太郎トマト、枝豆、ナス、キューリ、ミョウガ、フキ、ワラビ、ユズなどが収穫される…。
 農場では、ボランティアの日本人数人が働いている。作物を育てる難しさと楽しさを味わいながら、都会生活とは違ったオーストラリア体験をし、大自然の中で自分自身の将来を考えてみるのは素晴らしいことだ。農地の中には、アルパカや人懐こい犬たち、またジャイアント・リリーが大輪の花を咲かせる。天然の滝つぼプールがあり、夏になるとボン先生は川で大きなヤビー(豪州原産のザリガニ)を獲っている。
 ボン先生夫妻は日本語をほとんど完全に話される。現在はシドニーに住んでいて、過去に日本で留学していたベトナム人たち25家族と今でも情報交換をしており、近い将来、日本人と一緒にゴスフォードの北あたりで、リタイアメント・ヴィレッジを建設することを計画している。そこで野菜作りなどをしながら、日本語と英語で生活するコミュニティーの集団を作りたいとのことである。

■ハンター・バレー
 ワインを作るブドウは約40種以上あり、それをブレンドすることによりまた違ったワインが生まれる。ハンター・バレーは100カ所以上のワイナリーがあり、私が訪れるのは店で取り扱っているワインを作っている「ビンバジェン・ワイナリー(Bimbadgen Winery)」、「マーガン・ワイナリー(Margan Winery)」などだ。オーナーのアンドリュー・マーガン氏が薦める2000年セミニョンは素晴らしく、ワイナリー内のカフェ・レストラン「ベルトゥリー(Beltree)」の料理もおいしい。3・4月は白ブドウ、4・5月は赤ブドウの収穫の時期になり、9月の今はワイナリー全体が落ち着き、ひっそりとしたたたずまいとなっている。
 このあたりは、過去2〜3年、優れたレストランが増えており、以前からよくお茶を飲みに、スタッフを連れて行くペッパーズ・ゲスト・ハウス(Pepper's Guest House)のレストランには、ぜひディナーを食べに行ってほしい。私は3年前の正月、シェフに頼んで、調理場の中を見学させてもらった。よくワーキング・ホリデーの若者に私は日本人のいないハンター・バレーでワインの勉強したり、ピッキングしたりして、働くことを薦めている。私の経験上、英会話の上達には単語・文法を学校で覚えるよりも、生きた言葉、特に『ヒヤリング』を鍛える事が一番大切だと思う。会話を進める場合、相手が何を言っているのかわからなければ、イエスともノーとも言えない。つまり会話が成立しない。大事なのは『ヒヤリング』。そういった意味でもハンター・バレーでのキッチン・ハンド、ウエイターなどの仕事をぜひお薦めする。

■ショールヘーブン(エメラルド・ビーチ)、アラダラ
 シドニーから北へ約200キロ、ウロンゴンを越えて1時間も走ると肉牛で有名なカイアマ(Kiama)に入ってくる。プリンセス・ハイウエイからこの町に入る際の、急勾配のカーブから見える海沿いの風景のなんと美しいことか…。そして、そこから南へと続く一帯が地元の人にエメラルド・ビーチと呼ばれているショールヘーブン(Shoalhaven)。シティーから遠く離れているということで空と海の青さが全然違う。スモッグがない。うっとりする美しさが山にもキラキラ輝く海にもある。
 ショールヘーブンを過ぎて、イカ漁で有名なナウラ(Nowra)から南へ50キロ、アラダラ(Ulladulla)の漁港が見えてくる。ここは、オーストラリア東部最大のマグロ漁船の基地として近年特に有名であり、この地で上がったマグロは身のしまり、脂のノリもよく、評判がいい。有名なシーフード・レストランやキャラバン・パークもある。さらに50キロ南へ行くと、ベイトマンズ・ベイ(Batemans Bay)に到着する。ここにはNSW州唯一のウニの加工工場がある。タスマニア産のウニがオフ・シーズンの場合、シドニーに出回るウニはこの地で獲れたウニが多い。私はこの工場を何度か訪れているが、このあたりは水産物の宝庫で、ウニや各種の貝、アワビ、ロブスターも獲れる。つまり“海の宝”がそろっている。私は将来もしかすると都会を離れて、この地で、夫婦でレストランを経営しながら、生活を楽しんでいるかもしれない。
 私は日本から来たビジネス・ビザのシェフによく言うことがある。「いろいろな理由でこの国に来ると思うが、この国には素晴らしい食材と自然がある。日本はストレスの溜まる社会だ。この地を将来、自分でラウンドしてみること。必ず自分の好きな土地があるから、そこで夫婦で力を合わせて、店を経営してみる…。日本の社会では仕事に追われて、家庭の時間を持つことなく年をとっていく。もっとゆとりを持って家族の時間を持ち、コツコツと繁盛店を作り上げていく。それはオーストラリアだからできるレストラン経営だ。これは、生活大国であるこの国に来た君たちの1つの目標だと思う・・・・・」。どう思いますか?

■ベルブルック・ナーサリー・ティー・ショップ(Bellbrook Nursery Tea Shop)のお話
769 Peat Ridge Rd., Tel: (02)4373-1107
 ここはA.T.ファームの近くの山奥で、花をたくさん前庭で育て、地鶏卵や手作りジャムを販売している。私はいつもここにスタッフを連れて来る。50歳くらいの女性が山奥で、1人で経営している。そこではいく種類もの鳥が一緒に飼われている。逃げようと思えば、逃げられる。大きな鳥が種類の違う鳥のひなを殺してしまわないのか?なぜ力も違う、種類も違う鳥が同じスペースで生きていけるのか?そのことをスタッフに問いかけてみる。今まで答えられた人はいない…。絶対的な愛、おばさんの愛情があるから…。人間どんな人もすべての人を愛する事は難しい。私は120人すべてのスタッフを愛せるか?もしかすれば鬼のように厳しくスタッフを叱る私は、何か間違っているのかもしれない・・・・・。
 ここにきてよくそう思う。

 さて、次回は食材豊富なタスマニアの紹介とともに、私の会社名でもあるサケ・マスの習性、美味しいサケ料理の話をしていく。今回はこれまで。Have you enjoyed ?


BOYS BE AMBITIOUS !
筆者プロフィル
本名:定松勝義。鱒屋レストラン・グループ社長。1961年12月5日生まれ。愛媛県北条市出身。84年、ワーキング・ホリデーで来豪。85年、オーストラリア移住。現在、シドニー市内で「武蔵」「誠」「鱒屋」のレストラン3店舗を経営。「1年間にわたり、連載をさせていただくにあたり、食の仕事を通じての20年間の思い出、自然、人とのかかわりを3部構成にして語っていきたいと思います」

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