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「ユキズ」甲斐京一シェフ インタビュー

ロンドンから来豪、モダン・ジャパニーズの新しい風が吹く――

甲斐京一
Profile

■甲斐京一(かい きょういち)

1959生まれ。宮崎県出身。フランスで修行を積んだ後、ロンドンへ移り、「Zuma」などの繁盛店で活躍。06年渡豪し、サリーヒルズのモダン・ジャパニーズ・レストラン「Toko」の立ち上げに参加。07年8月から現職。

 サーキュラ・キーの外国船ターミナル内、オペラ・ハウスを東に臨む絶好のロケーションに位置する「ユキズ」。活ロブスターやアワビといった魚の卸業直営店ならではの新鮮な魚介類を中心とした和食メニューのイメージが強い同店だが、今年8月、ロンドンで活躍していた甲斐京一シェフという新たな風を受け、再び船出した。就任1カ月の甲斐シェフに話を聞いた。

――ロンドンで活躍されていた甲斐シェフですが、来豪のきっかけ、「ユキズ」のシェフ就任に至った経緯を聞かせてください。
 20年近くロンドンでシェフとして働いていました。お寿司と炉端焼き専門の「Zuma」というレストランにいた時、その「Zuma」のスタイルをオーストラリアに持ってくるという話があり、誘われたのが来豪のきっかけです。それから、シドニーのサリーヒルズに「Toko」というお店を立ち上げました。モダンな雰囲気と炉端と寿司というのがウケて、オープン当初は不安でしたがシドニーで受け入れられたと思います。それとは別に、渡豪した時から(ユキズの)社長には声をかけてもらっていたので、「Toko」との1年間の契約が切れたのを機に、こちらでお世話になろうと。

――来豪されてまだ1年少しということですが、オーストラリアの印象はいかがですか ?
 すべてがスロー(苦笑)。ロンドン、というかヨーロッパの料理の世界はすごく組織化されていて、技術面においても最先端。最初は違いにかなり戸惑いましたね。良くも悪くもすべての面において時間の流れがゆっくりしている。「Toko」立ち上げのスケジュールが遅れたこともあり、来た当初から「(この仕事が終わったら)帰ろう ! 」と思ったくらい。ただ、競争心が薄い分、味・サービス次第でトップになれる可能性があるとも言えるでしょう。
  それから、やはり日本人シェフの技術の高さは素晴らしい。日本で料理をした人ならどこへ行っても日本のレベルが高いことが分かると思います。

本格和食から創作和食まで。ロンドンっ子をうならせた手腕に期待がかかる
本格和食から創作和食まで。ロンドンっ子をうならせた手腕に期待がかかる

――ロンドン時代には和食のシェフとして活躍、数多くの賞を受賞されたそうですね。
「Zuma」はかなりの人気店で忙しかったです。ロイヤル・ファミリーに料理を供するレストランにいたこともあるし、カジノに併設された高級レストランでも働きました。それから、ちょうど和食ブームだったこともあり、新店舗の立ち上げにも3回ほど携わりました。カジノ時代にいただいた賞は嬉しかったですね。

――得意とするのはどういった料理ですか ?

実はフランスで修行したので、専門はフレンチなんです。だけど、ヨーロッパにいた時に和食ブームが起こり、コンテンポラリー料理の走りのような仕事をたくさんした。30年やってきて、ちょうど和と洋を半々ずつしている感じなので、どちらが得意ということはないです。ただ、日本で身に着けた基本は守るようにしています。

――甲斐シェフが加わった新しい「ユキズ」。今後の展開を教えてください。
 魚介の卸直営なので、メインはやはり新鮮な魚介です。まだ手探りの部分はありますが、新しいことをどんどん取り入れつつ、今いるスタッフと協力して「日本が着地点」となる料理を出していきたい。今まで純和食がメインでしたが、それに加えて今後は和とフレンチが融合した料理を増やしていきたいですね。お得なコース・メニューも用意していますし、特にランチは気軽に来てもらえるような内容にしています。
  それと、場所柄から高級なイメージがあると思いますが、料金は抑えてコスト・パフォーマンスを高くしたい。今までこの店が語られる時、まず「あそこはすごく景色がいい」だったと思うんです。それもいいんですが、せっかく美味しい料理と良いサービスがあるんだから、そこを評価されたい。その上で、この場所の良さがアドバンテージになれば最高ですよね。


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