新年特別インタビュー
- デルタ・グッドレム 豪州が生んだ奇跡の歌姫 [2007/12/24]

新年特別インタビュー
「ポジティブなメッセージを送り続けること」それが私の義務
デビュー・アルバムが100万枚を超える大ヒットを記録し、一躍オーストラリア音楽界のトップ・スターとして踊り出た矢先、ガン(ホジキン病という悪性リンパ腫)に見舞われたデルタ・グッドレム。つらく、先の見えない闘病生活を送りながらも、彼女のポジティブな病気に対する姿勢は、多くの人々に勇気と感動を与えた。長い療養生活を乗り越えて、2007年10月にリリースした最新アルバム『デルタ』は、瞬く間にヒット・チャートのナンバーワンを記録。また、イメージ・チェンジをはかり、セクシー度がアップしたビジュアルも大きな話題となっている。
2006年には、日本デビューも果たし、日本でも多くのファンを持つ彼女に、音楽や日本、闘病生活などについて率直に語ってもらった。
−−最新アルバム『デルタ』がリリース後、瞬く間に大ヒットとなりましたが、このアルバムのコンセプトは?
人生、愛、幸福。自身と世界をもう1度信じて前進しましょう。そういう気持ちを込めて作りました。
−−セクシー度がアップした新しいデルタ・グッドレムとしても話題になっていますね。
私は自分のことをセクシーだとは思わないわ(笑)。以前と別段、変わっていないと思います。ただ、髪が元の長さに戻ったり、前よりある種の自信が着いたという感じはあります。それと、ドレスアップすることをエンジョイできるようにもなりました。でも、私はシンガーだから、ルックスではなく、私の曲が人々の日常生活に溶け込んでほしい。そこに尽きますね。
−−曲はどうやって作るのですか。
さまざまなアーティストが、さまざまな方法で曲を作りますが、私の場合は、外部から一切遮断された自分だけの空間に身を置くことから始めます。そこで、自分の本能やハートに真実を聞きます。すると自然に湧いてくるんです。例えば、日記を書く時はそうでしょう。部屋のドアを閉めて、独りになって自分の感情を吐き出す。曲作りもそれと同じです。
−−アーティストとして、今後はどう成長したいですか?
毎日の生活の中で、見て、聴いて、語りながら、学びながら成長し、発展していきたいと願っています。人が“現在”聴いている音楽は何なのか。今を生きている人からインスピレーションをもらい、それが私のクリエイティブな面を刺激し、アーティストとして高めてくれる。そういうプロセスが、長いキャリアを保持するためのエッセンスだと思っています。
−−ガンに対してあなたの勇気ある姿勢は多くの人々に共感を呼び起こしました。
療養中、自分を見失って「私はこれからどうなるんだろう」と、とても落ち込んだことだってもちろんありました。私は常に勇敢なわけではないです。治療中は毎日気分が悪くて、どうしていいか分からなくなってしまったことも頻繁でした。副作用で、髪が抜け、肌の色も変わって、度々嘔吐するので体重が激変し、外見的に全く別人のような自分を鏡で見て、とても悲しくなったこともあります。
でも、できる限りポジティブでいようといつも自分を叱咤激励し続けました。ネガティブな気持ちでいると、ストレスは溜まるし、病気が悪化するだけだと。そして、私の義務は、人々にポジティブなメッセージを送り続けることだと、いつも自分に言い聞かせていました。今苦しんでいる人に、あなたは独りじゃない、乗り越えた人がたくさんいるんだから、必ず向こう側に到着するのよ、それを1日の終わりにいつも言い聞かせてって、そうメッセージを送り続けてきたんです。
−−療養中、音楽が果たした役割は ?
「Be Strong」という曲は、療養中に作った曲ですが、あれは私の友達のために作った曲です。私がガンのキモセラピー(化学療法)を受けている時、その友達も同じ治療を受けている最中でした。それで彼女に捧げようと決めて作ったものです。友達に向けて、「あなたの気持ちはとてもよく分かる。どんなに辛くても、頑張って強くなって」と呼びかける、とても個人的な曲です。でも、その奥には自分にもそう語りかける自分がいたはずです。そういう意味で音楽の大きな力を感じます。
−−病気の前と後では、曲の作り方、あるいは人生の見方に大きな変化がありましたか ?
曲の作り方が変わったということはないと思います。ただし、人生の見方は大きく変わりました。健康のありがたさ、日常生活の貴重さ、曲への想い…、とにかくここでは語りきれないほど大きな変化がありました。


−−セレブと言われることについては ?
セレブだという実感はありません。でも、ショー・ビジネスの世界でそういうレッテルが付いて回るのは止むを得ないことですね。一番大切なのは、ネガティブな現象、例えばまったくでたらめのゴシップなどが、自分の生活に影響しないように、精神状態をいつも強く保ち、笑って無視する、ユーモアで処理する、そのノウハウをテクニックとして備えておくことが必要だと感じますね。それから、自分のポジションをいつも明確に自覚すること。私の場合は、アーティストであり、1人の人間であることの自覚。それさえハッキリしておけば、だいたいの場合は正しい言動ができるはずです。
−−仕事とプライベートのバランスは?
プライベートでは、家族と友達との交流が何よりも大切です。職業柄、会える機会が少ないので、いつも私は彼らのことが気になるんです。だから、電話やメールなどで「アイ・ラブ・ユー」のメッセージを送ります。それと彼らの誕生日や結婚記念日などは絶対に忘れません。そう、もうすぐ弟が21歳を迎えるのですが、私のダイアリーにその日は大きな丸印が付いています(笑)。それから私自身は、身体にいいものを食べ、エクササイズをし、バランスのいいライフスタイルを心がけています。
−−オフの時は何をしてエンジョイしていますか ?
私にはずっと付き合っている友達がいます。オフの時はいつも集まって、大いにエンジョイしています。
−−05年には映画『Hating Alison Ashley』に女優として主演しましたが、これからも女優活動を続けていきますか ?
ええ、将来はもっと女優業にも挑戦したいです。でも今は、ミュージシャンに専念することがとてもハッピーなんです。
−−現在イギリスとオーストラリアに住んでみて、両国の違いは?
大した違いは感じません。強いて言うなら、オーストラリアは暖かい月が多く、イギリスは寒い月が多いというぐらいかしら。
−−06年に日本でCDがリリースされて以降、日本とのコネクションが深まり、最近、あなたの曲『Flawed』が、日本映画『Adiantum blue』(配給:角川ヘラルド映画)の主題歌に起用されましたが、映画は観ましたか?
ええ、観させてもらいました。英語字幕がないので、台詞は分からなかったですが、映画のフィーリングは理解できました。とても素敵でした。私の曲が素晴らしい映画に使われていて感動しました。
−−(同作品のプロモーションで)女優の松下奈緒さんとピアノのジョイント・セッションをしましたが、いかがでしたか?
ナオはとても美しく才能のある女性です。彼女とセッションできてとても光栄に思っています。最近、彼女がピアノを主題にリリースしたアルバムを贈ってもらいました。新しいアルバムがリリースされるとお互いに贈り合っています。
−−ほかの日本映画を見たことがありますか ?
残念ながらありません。でもいつか日本語をマスターして、字幕なしで日本映画を観たいという気持ちがあります。
−−日本でもテレビ出演されましたが、日本のテレビ界をどう感じましたか ?
日本でのテレビ出演はとても楽しい経験でした。テレビが持つ一番の意味は楽しさといい意味での現実逃避にあると思っていますが、日本のテレビはそれがぴったり当てはまるんじゃないでしょうか。
−−日本と日本人についてどんな印象を持ちましたか ?
日本は大好きです。本当お世辞でも何でもなく、日本は私のお気に入りの国です。人々はとてもフレンドリーで、それでいてマナーをわきまえているというのかしら。礼儀正しいけれど、固い意味ではなく、気持ちのいいマナーが印象的でした。
−−日本人のファンは、ほかの国と比べて、キャラクターは違っていますか。
そうね。ファン気質にお国柄というものはあると思いますが、日本のファンはまだ新しいので正直分かりません。ぜひ日本でいつかツアーをしたいと願っていますが、それが実現すればもっと日本のファンのことが分かると思います。
−−日本では東京以外にどこか行きましたか ?
ええ、名古屋と大阪へ行きました。新幹線に乗りましたが、すばらしい旅でした。温泉がある良いスキー場があると聞きましたから、いつか日本へ、家族と一緒にスキーをしに行きたいと思っています。私たち一家は、みんなそろってスキーが大好きなんですよ。
−−日本で最も印象に残ったものは ?
まず、街が清潔できれいですね。車のドライバーもお互いに譲り合いの精神を持っていてナイス。1歩街を出れば、緑があふれる田舎が美しい。何と多くの人が自転車に乗ってるんだろうと驚きました。とにかく、インクレディブルな国だという印象が一番強いです。
−−一番好きな日本食は ?
スシです。それからモス・バーガーが大好き。日本にしかないバーガーでしょう。また早く食べたい!
−−次の来日プランは?
2月に訪問する予定です。
−−新年の抱負を聞かせてください。
まず、健康に気を付け、人生をエンジョイし、私の作った曲をできるだけ多くの人に聴いてもらい、世界中のファンとつながっていきたいと思います。家族、友達、ファンの愛に感謝し、彼らからインスパイアされたものを曲に投影し、それが喜んでもらえればとてもハッピーです。
−−最後に、日本のファンにメッセージをください。
コンニチワ(笑)。アルバム『デルタ』をエンジョイしてください。このアルバムは、作る過程がとても楽しく、曲作りも歌うこともトータルにエンジョイできましたので、その雰囲気を感じ取ってもらえたら嬉しいです。いつも温かい応援に心から感謝しています。2008年が皆さまにとって素晴らしい年となりますように。また1日も早く日本でお会いできる日が来るよう祈っています。アリガトウゴザイマシタ。
【Profile】
デルタ・グッドレム:1984年11月9日生まれ。シドニー出身の歌手でピアニスト、作詞も手がける。15歳でソニーBMGオーストラリアと契約、02年、豪人気ドラマ『ネイバーズ』の出演をきっかけに大ブレイク。シングル『ボーン・トゥ・トライ』を皮切りに5曲連続でシングル1位を獲得するなど、一挙にスターの座に上り詰める。03年には豪州最高峰の音楽賞、ARIA賞で豪音楽史上最多の7部門を受賞する快挙を成し遂げた。18歳でガンを患うも、化学療法を繰り返し見事克服。05年には映画『ヘイティング・アリソン・アシュリー』で映画デビューを果たすなど、女優としても活躍する。06年にアルバム『イノセント・アイズ』で日本デビュー。07年10月に発売された最新アルバム『デルタ』が豪アルバム・チャート初登場第1位を獲得。
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